米政府、ロシアの金融機関や政府高官、富豪らに制裁

米国政府は12月15日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対して新たな制裁を発動した。

米財務省はロシア第2の銀行VTBバンクの子会社17社と、金融大手ロスバンクを金融制裁対象の「特別指定国民（SDN）」に指定した。ロスバンクについては、英国とカナダも制裁対象に指定しており、それらと歩調を合わせた措置となっている。VTBバンクについては、2月にSDNに指定されている（2022年2月25日記事参照）。

また、米国務省はロシア有数の富豪でウラジーミル・プーチン大統領にも近いとされるウラジーミル・ポターニン氏や同氏の家族、所有企業・ヨットのほか、ロシア政府高官、ロシア鉄道の取締役など40人以上をSDNに指定した。ポターニン氏は財務省がSDN指定したロスバンクを2022年初めに買収している。SDNに指定した対象には、在米資産の凍結や米国人（注1）との資金・物品・サービスの取引禁止という制裁を科す。また、SDNが直接または間接的に50％以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。SDNに今回指定した企業などの詳細は財務省のウェブサイトで確認できる（注2）。

アントニー・ブリンケン国務長官は制裁発動に当たって「本日の措置は、プーチン大統領の不当な戦争の終結と説明責任を促すために、米国が取り得る手段を使い続けることにちゅうちょはないという明らかなメッセージ」との声明を出している。

米国政府が2022年2月以降に発動した対ロシア・ベラルーシ制裁関連については、添付資料を参照。

（注1）米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人（外国支所も含む）、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

（注2）ウクライナ情勢に関する財務省による制裁の全容は、同省の「ウクライナ／ロシア関連制裁」のポータルサイトを参照。制裁対象に指定した個人・企業などについては、同省外国資産管理局（OFAC）のデータベースでCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

（磯部真一）