ifo経済研究所、ドイツの経済見通しを上方修正

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年12月22日

ドイツの主要経済研究所の1つ、ifo経済研究所は12月14日、冬季経済予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドイツの実質GDP成長率について、2022年が1.8%、2023年はマイナス0.1%と予測した。9月発表の秋季経済予測(2022年9月20日記事参照)から、いずれも0.2ポイント上方修正した。

ドイツ連邦統計局が発表した2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(前期比)は、予想を上回る0.4%となった(2022年12月1日記事参照)。ifo経済研究所は、2022年第4四半期(10~12月)がマイナス0.3%、2023年第1四半期(1~3月)はマイナス0.4%と、マイナス成長が2四半期連続するものの、その後はプラス成長に転じると予測した。

ドイツ経済が置かれている状況について、ifo経済研究所は、需要面ではなく供給面の制約から成長できない状況にあるとした。具体的には、ほぼ全ての産業部門で、(1)エネルギー供給の制約、(2)原材料・部品などの供給難、(3)労働者不足により、需要に見合うだけの生産・サービス提供ができていないという。また、これらの要因により、生産者価格も上昇している。

消費者物価上昇率については、ifo経済研究所は、2022年が7.8%、2023年は6.4%と予測し、2023年は秋季経済予測の9.3%から大幅に引き下げた。その要因として、同研究所は、2023年1月に適用開始の天然ガスと地域熱と電力の上限価格設定(2022年12月6日記事参照)を挙げている。なお、同研究所は今回の予測について、2023年と2024年に天然ガス不足が生じないことを前提にしている。エネルギー不足が生じた場合、今回予測よりも景気動向が大幅に悪化する可能性があるという。

他の研究機関なども、ドイツの経済見通しを相次いで発表している。キール世界経済研究所(IfW)は12月15日に冬季経済予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、実質GDP成長率を2022年が1.9%、2023年は0.3%と予測、前回予測(2022年9月)からそれぞれ0.5ポイント、1.0ポイント上方修正した。ドイツ連邦銀行(中央銀行)は16日、半期に1度の経済予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、実質GDP成長率を2022年が1.8%、2023年はマイナス0.5%とする予測を発表した。同行は、2023年は通年ではGDPは前年比マイナスとしながらも、「2023年下期からドイツ経済は徐々に回復する」としている。

(高塚一)

(ドイツ)

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