ドイツ中小企業、サプライチェーン強靭化のため欧州回帰も

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2022年12月12日

ドイツ大手金融機関DZバンクは125日、ドイツ中堅・中小企業のサプライチェーンの強靭(きょうじん)性に関するアンケート調査結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。アンケートは912日から1017日にかけて実施、ドイツの中小企業オーナーまたは経営者1,000人以上から回答を得た。

まず、現在の国・地域依存度(輸出または輸入)について聞いたところ(複数回答可)、回答者の36%が中国、33%が中・東欧に依存していると回答した。米国、ウクライナがそれぞれ15%で続いた。業種別では、特に電機で、中国に依存していると回答した企業の割合が6割近くに上った。ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)は202211月、電気・電子・デジタル製品におけるドイツと中国の相互依存について報告しており(2022年11月22日記事参照)、今回のアンケート結果と同様の傾向が示された。

次に、国・地域ごとの、今後5年間のサプライチェーンにおける重要度の変化を聞いたところ、「重要度が増す」と回答した割合から「重要度が減る」と回答した割合を引いた数値では、西欧が25ポイントで最大となった。中・東欧が9ポイント、米国が8ポイントと続いた。

一方、中国は0ポイントとなった。すなわち、「重要度が増す」「重要度が減る」の回答が均衡した。企業の売り上げ規模別にみると、売上高5,000万ユーロ超の企業では中国の「重要度が減る」との回答が「重要度が増す」との回答を上回ったのに対し、売上高が500万ユーロ未満の企業では、中国の「重要度が増す」とした回答が上回ったという。なお、他のアジアの国・地域では、インドが3ポイント、東南アジアが2ポイントで、「重要度が増す」の回答が若干上回る結果となった。

以上の結果から、DZバンクは、ドイツの中小企業がサプライチェーンのリスク分散の観点から、調達先などを西欧、中・東欧に戻す動きがある、と結論付けている。

最後に、サプライチェーンの逼迫に備え、既に実施、または、計画している対応策を聞いたところ(複数回答可)、「サプライチェーンの多様化」が最大の64%だった。これに、「在庫積み増し」(55%)、「製品または企業活動の適応」(38%)、「サプライチェーンの短縮化・ニアショアリング」(33%)と続いた。ifo経済研究所も202210月に公表したアンケート結果で、「在庫積み増し」「調達多様化・新調達先の開拓」がサプライチェーン強靭化への具体策の中心としており(2022年10月19日記事参照)、今回のアンケート調査と同様の傾向が示された。

(高塚一)

(ドイツ、中国)

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