カナダ、COP15で日米など6カ国と重要鉱物アライアンス形成を発表

(カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国、米国)

トロント発

2022年12月15日

カナダのジョナサン・ウィルキンソン天然資源相は12月12日、カナダがオーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国、米国とともに、「持続可能な重要鉱物アライアンス」を立ち上げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。12月7~19日にモントリオールで開催中の国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で明らかにしたもので、環境的に持続可能で社会的に包括的かつ責任ある採掘、加工、リサイクル手法や、責任ある重要鉱物のサプライチェーンの世界的な普及を図る。

同アライアンスは、2021年6月のG7サミットで合意した「G7・2030年自然協約」で掲げられた、持続可能で包括的な開発に焦点を当て、温室効果ガス排出量削減のための世界規模のシステム変更を通じて、2030年までに生物多様性の損失を阻止し回復するという公約にも合致する。アライアンスのメンバーは、イタリアを除くG7各国およびオーストラリアで構成され、持続可能で包括的な採掘方法の開発や、重要鉱物の調達に向けて環境基準や労働基準の強化について自主的に取り組むことを約束した。

ウィルキンソン大臣は、「『持続続可能な重要鉱物アライアンス』は、クリーンエネルギーへの移行に必要な、責任を持って調達された重要鉱物の確保にあたってカナダと国際的なパートナーが共に努力を重ねるうえで、歴史的な一歩となるものだ」と述べ、アライアンスの発表は、カナダを重要鉱物とそれを利用したクリーンテクノロジーの世界的サプライヤーとして位置付けるという「カナダ重要鉱物戦略」(2022年12月15日記事参照)に基づくものであることを明らかにした。

ただし、同アライアンスでは、自国の領土で採掘された原材料の中国への輸出を制限するかどうかは明示されていない。カナダはすでに、非民主主義国の国有企業からカナダの重要鉱物資源を保護するガイドライン強化を発表しており(2022年11月1日記事参照)、中国企業3社にカナダの小規模鉱山開発における所有権を売却させている(2022年11月11日記事参照)。

他方、ウィルキンソン大臣は、アライアンスはカナダの重要鉱物の調達先に影響を与えるとしており、「われわれは、基本的に鉱物の生産方法だけでなく、調達に関する一定の基準にもコミットしている。もし重要鉱物資源を持つ国が英国や日本、カナダに売りたいのであれば、(アライアンスの)原則を尊重する必要がある」と言及した(「グローブ・アンド・メール」紙12月9日)。

(飯田洋子)

(カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国、米国)

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