ドイツ機械工業連盟、中国に関するポジションペーパーを発表

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2022年12月26日

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は1213日、中国に関するポジションペーパー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。機械・設備関連企業にとっての中国の位置付けを整理し、中国戦略を策定中のドイツ連邦政府などに向けて、具体的な提案を行ったものだ。

まず、VDMAは、欧州とドイツの機械・設備関連企業にとって、中国は非常に重要な市場であり、将来的にもそうあり続けるとした。2021年の世界の機械関連売上高29,550億ユーロのうち、中国は約37%の1970億ユーロを占める。2021年のドイツからの中国への機械・設備関連の輸出額は194億ユーロで、米国の207億ユーロに次ぐ。また、ドイツの機械関連の対外直接投資残高では、中国は約16%を占め、米国の約29%に次ぐ。VDMAの会員企業約3,500社のうち、約900社が中国に投資し、うち約半数が中国に生産拠点を有するという。

これらから、VDMAは、中国市場は短・中期的にみて他市場で補完できないとし、連邦政府は、貿易保険や中国での展示会出展支援など、ドイツ企業が中国市場を開拓するための支援策を継続すべきとした。その上で、連邦政府は、ドイツ企業が中国以外の国・地域の市場を開拓するための支援を拡充すべきとした。VDMAはこの動きを「ビヨンド・チャイナ(Beyond China)」と表現した。具体的には、東南アジアが短・中期的に中国を部分補完する可能性があるとし、ほかにインド、中南米、アフリカを挙げた。

VDMAEUに対しても、市場開拓、競争条件同一化などのため、自由貿易協定の整備を求め、特にインドやASEANなどとの交渉を進めるべきとした。また、欧州委員会が202112月に発表した、EU域外向けの新たなインフラ支援戦略「グローバル・ゲートウェイ」(2021年12月3日記事参照)について、欧州産業界が関与し、いち早く具体的なプロジェクトを進めることが大事と指摘した。一方で、EU域内市場について、保護主義的な動きを回避しつつも、中国を始めとする第三国の不公正な貿易慣行から守るべき、としている。

ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)も202211月、中国に関する提議を公表するなど(2022年11月22日記事参照)、ドイツ産業界から中国に関する提言が続いている。

(高塚一)

(ドイツ、中国)

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