福州市で新型コロナ「中・高リスク地域」指定相次ぐ、企業には封鎖管理を要求

(中国)

広州発

2022年11月10日

中国の福建省福州市では10月23日から11月7日までに累計1,353人の新型コロナウイルス感染者が確認された(無症状感染者を含む、国内症例のみ、以下同)。10月29~31日に3日間連続で新規感染者が100人を超えた後、感染者数は減少傾向がみられているが、同市政府は感染抑え込みのため、市民に対する厳しい移動制限措置を実施。高リスク地域と中リスク地域を相次いで指定し、11月8日時点で市内の高リスク地域は123カ所、中リスク地域は178カ所に及んでいる。

市内で操業する企業に対しても、厳しい防疫措置(封鎖管理)を求めている。福州市工業信息化局は11月2日、「防疫対策を行う工業企業におけるクローズドループ方式での生産活動方案に関する通知」を発表。工業企業に対し(1)工場内のリスクエリア管理、(2)従業員の防疫管理、(3)外部との輸送、資材管理の3点の策定と鎮政府への報告を義務付けた。それぞれ主な内容は以下のとおり。

  1. 工場内のリスクエリア管理:生産区域を高・中・低の3つのエリアに区分し、異なるリスクエリアの人員を接触させない。業務のオンライン化や、一時的な隔離場所の設置を求める。
  2. 従業員の防疫管理:従業員同士のシフト交代時の非接触化、生産区域に入る際の健康コード、行程コード、PCR検査結果の確認の徹底などを実施。ドライバーなど外部と接触の多い従業員を高リスク人員とし、他の従業員との接触を避けるなどの措置を実施する。
  3. 外部との輸送、資材管理:資材搬入の専用ルートや固定の搬入出場所を設け、高リスクエリアであることを明示。非接触型での貨物引き渡しを奨励し、貨物の受け取り、積み込み、積み下ろし、消毒などにあたる作業人員は固定化する。

企業所在地によっては、上記措置よりもさらに厳しい管理を求めるケースもみられる。ジェトロが11月7日に現地日系商工会にヒアリングをしたところ、工場が集積する地域(鎮)では、作業員が施設内にとどまる場合に限り、操業継続を認められる事例も発生しており、各社は簡易宿泊施設を設置したり、社員寮の空き部屋を活用したりするなどの対応をしているという。また、翌8日に現地日系電子部品メーカーにヒアリングをしたところ、「社員寮に居住しているスタッフのみで操業を続けており、稼働率は平常時の6割程度に落ち込んでいる」とのことだった。

9日時点で、上述の移動制限措置や企業に対する防疫措置強化の強化を求める「通知」の解除時期は明記されていない。福州市の防疫指揮部の指示が待たれるが、措置が長引く場合、さらなる操業への影響が懸念される。

(注)携帯電話の基地局との通信データを利用し、直近14日間で訪問した都市、国・地域の履歴を管理するコード。専用アプリや微信(WeChat)、支付宝(Alipay)のミニプログラム上などで発行される。

(田中琳大郎)

(中国)

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