国連総会一般討論演説、アフリカはテロ、気候変動、国連改革を主張

(アフリカ)

中東アフリカ課

2022年10月06日

米国ニューヨークで9月20日から開催された国連総会一般討論演説では、国連加盟国193カ国中54カ国を占めるアフリカ諸国から53カ国の代表者が演説を行った。アフリカ連合(AU)議長として、初日に演説を行ったセネガルのマッキー・サル大統領の演説のポイントは以下のとおり。

  • アフリカ大陸において広がりつつあるテロはアフリカだけの問題ではなく世界的脅威。国連はアフリカにおけるテロとの戦いにより注力すべき。
  • ウクライナについては、対立の段階的緩和、停戦、交渉による解決を目指すべき。アフリカは過去の歴史の重荷に苦しんでおり、新しい冷戦は望まない。「従わないものはすべて敵」といった偏った見方は乗り越え、お互いの相違に敬意を払う「多国間主義」を望む。
  • より公正で、インクルーシブなグローバル・ガバナンスを構築すべく、アフリカ諸国の望む国連改革、特に安全保障理事会の改革、また、G20へのAU公式参加枠の確保を望む。
  • 格付け会社による評価過程の不十分さを改善すべき。アフリカにおけるリスクが誇張されており、保険料などが高くつき、競争力をそいでいる。
  • 未曽有の経済危機に鑑み、IMFの準備資産である特別引き出し権(SDR)のアフリカへの再配分や、G20の債務返済猶予イニシアチブ(DSSI)の履行を求める。
  • エジプトで開催される国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に向けて、アフリカはパリ協定の履行を再確認する。また、公平で公正なエネルギー転換に向けた合意を望む。途上国、そしてアフリカの気候変動適応(2022年9月27日記事参照)への支援のために、年間1,000億ドルの資金を動員することを目指す。

テロについては、コンゴ民主共和国などアフリカ中部や、ニジェールなどサヘル周辺国、ソマリアなどアフリカの角地域、モザンビークなどの元首らが演説で、各地でのテロとの戦いに対する国連の支援強化を求めた。COP27については、各国、気候変動による天災などの被害が大きく、適応や天災などの被害軽減など、先進国による支援強化を訴えた。また、2001年から続くジンバブエに対する経済制裁(2018年8月30日記事参照)の解除を求める声も多く聞かれた。

(佐藤丈治)

(アフリカ)

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