世界銀行、エネルギー価格は2022年をピークに下落予想

(世界)

国際経済課

2022年10月28日

世界銀行は10月26日、「一次産品市場の見通し」〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を発表した。2022年のエネルギー価格指数(2010年=100)は、4月の発表(2022年4月27日記事参照)から8.1ポイント上方修正され、151.7となった(注1、注2)。前年の同指数(95.4)からは59.1%の上昇を見込む。

2022年の農産物などの非エネルギー価格指数は、前回発表の見通しから9.8ポイント下方修正し、123.7(前年比では10.5%上昇)との見通しを示した。なお、エネルギー価格、非エネルギー価格ともに、2022年をピークに下落に転じ、2023年についてはそれぞれ、2022年比で11.2%、8.1%下落するとの見通しが示された。

エネルギー価格のうち、2022年の欧州の天然ガス価格は1mmbtu(100万英熱量単位)当たり40.0ドル(年間平均)と、前年比2.5倍の上昇幅になる見通しだ。また、2022年のオーストラリアの石炭価格が1メトリックトン当たり320.0ドルの同2.3倍となる。欧州の天然ガス価格は2022年8月に、ロシアからの供給減少などを背景に史上最高値を記録した。天然ガスの代替として、多くの国で使用されている石炭価格も上昇を続けていると分析する。

その他のエネルギーのうち、2022年のブレント原油価格は1バレル当たり100.0ドルで前年から42.0%上昇。報告書では、ウクライナ情勢により価格が大きく変動していると指摘した上で、「2023年の世界的な景気後退を懸念し、2022年9月の同原油価格は、同年6月と比較し約25%下落した」とする。一方、OPECプラス(注3)が10月5日、11月から日量200万バレルの減産を発表したことで、原油価格が部分的に上昇したと説明する(2022年10月6日記事参照)。

農作物の価格指数は、前年比13.4%上昇の123.2となった。一方で、世界的に予想を上回る小麦収穫量、コメの安定供給、ウクライナからの穀物輸出再開を反映し、2023年は2022年比で4.5%の下落が予測されている。金属の価格指数は2023年に、世界経済の減速と中国経済低迷への懸念などから、同15.2%下落すると見通している。特に銅に関しては2022年3月以降、世界経済の急減速やエネルギーを多く消費する製錬所の操業停止などを背景に、価格が急落したと指摘する。

(注1)本文における価格指数は、全て基準となる2010年の物価(年間平均)を100として、各年の物価を比較計算した数値。いずれも名目値で計算。

(注2)本文における数値は、世界銀行発表の報告書(英文PDFファイルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))から引用した。

(注3)サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などOPEC加盟国と、ロシア、メキシコなど非加盟の産油国で構成される。

(上野渉)

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