シンガポール貿易産業相、IPEF交渉の進展を歓迎

(シンガポール)

シンガポール発

2022年09月15日

シンガポールのガン・キムヨン貿易産業相は9月10日、米国のロサンゼルスで開催されたインド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚会合に出席し、会合後の声明で「IPEFが5月に発足して以降のこれまでの成果を喜ばしく思う」と歓迎した。ガン貿易産業相は「(IPEFは)新たな経済課題に対し、既存の貿易規則を超えた対応を可能にする前向きで野心的、かつ革新的なイニシアチブだ」と述べた。

9月8~9日に行われたIPEF閣僚会合では、(1)貿易、(2)サプライチェーン強靭(きょうじん)化、(3)クリーン経済(脱炭素・クリーンエネルギー)、(4)公平な経済(税・腐敗防止など)の4分野で閣僚声明が採択された(2022年9月12日記事参照)。ガン貿易産業相は声明で「国際経済の見通しが引き続き不透明な中、各国が課題に協調して対応するためのプラットフォーム構築に、国際的と地域的な協力が不可欠かつ喫緊のものとなっている」と強調した。さらに「デジタルやグリーンエコノミーなどのプロジェクトで、われわれの労働者や企業、コミュニティーが明白な利益が享受できるよう、IPEFのパートナー国と協力していくことを待ち望んでいる」との抱負を語り、米国やIPEFのパートナーの国々と密接に協力していく姿勢を示した。

リー・シェンロン首相は5月26日に東京での演説で「IPEFはFTA(自由貿易協定)ではなく、TPP11〔環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)〕に代わるものではない。しかし、米国のバイデン政権がアジアとのパートナーシップと経済外交を重視していることを示すものだ」と評価していた。その上で、リー首相は「IPEFが将来、米国内の政治が許すのであれば、米国やアジアのパートナーとの間のFTAに発展することを望む」と述べた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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