8月の貿易額、前年同月比で伸び減速

(中国)

北京発

2022年09月12日

中国海関総署の97日の発表によると、8月の貿易総額(ドル建て、以下同)は前年同月比4.1%増の5,505億ドルとなり、2桁増だった7月に比べ減速した。輸出額は7.1%増(7月:18.0%増)の3,149億ドル、輸入額は0.3%増(2.3%増)の2,355億ドルで、貿易収支は794億ドルの黒字だった(添付資料表参照、注)。なお、8月の貿易貨物輸送量は3.2%減となった。そのうち輸出は0.3%増、輸入は5.1%減だった。

8月の貿易額を中国の主要な貿易パートナーのASEANEU、米国、日本、韓国についてみると、輸出ではEU向けが2桁増で、前年同月比で減少した米国を上回って、輸出先で1位となった。輸入はASEANEUからは増加したものの、韓国、日本、米国からの輸入が減少したため、総額では前年同月比でほぼ横ばいとなった。なお、ロシアとの貿易は、輸入額、輸出額ともに前年同月比2桁増となり、総額では43.8%増となった。

8月の貿易額を主要品目別にみると、輸出では、引き続き自動車が好調だった一方、携帯電話や家電はマイナスだった。輸入では、大豆や穀物の輸入量が2桁減となったほか、原油・天然ガスは輸入量が減少したものの、単価の上昇により輸入額は増加した。

海関総署の李魁文報道官は、18月の貿易は安定成長を維持したと評価した一方で、貿易におけるリスクが顕著に増加しており、外需の伸びの鈍化や受注の難易度の高まりなど不利な要因もあると指摘した。

光大銀行金融市場部の周茂華マクロ研究員は、国外需要の減速や比較対象となる前年の値が高かったことにより、8月の輸出の伸びは一定程度減速したが、輸出の規模自体は依然としてトレンドを上回っており、電気機械製品の輸出も好調を維持していると指摘した。また、輸入下押しの要因としては、国内需要が依然として回復途上で弱いことや、国際商品価格の高止まりによる輸入需要減、比較対象となる前年の値が高いことなどを挙げた。9月以降については、世界的なインフレと金利の引き上げが需要を抑制することや地政学リスクが輸出に影響するとしたほか、輸入については内需拡大策の効果により需要が一定程度改善する一方、エネルギーや原材料価格の高騰や比較対象となる前年の値が高いことにより、回復の程度は大きくならないだろうと見通した(「21世紀経済報道」97日)。

(注)中国元建てでは、貿易総額が前年同月比8.6%増(7月は16.6%増)、輸出額が11.8%増(23.9%増)、輸入額が4.6%増(7.4%増)だった。

(小宮昇平)

(中国)

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