遼寧省の日系企業、RCEP協定を積極的に利用

(中国)

大連発

2022年08月08日

中国・瀋陽税関によると、2022年上半期の遼寧省と地域的な包括的経済連携(RCEP)協定加盟国との輸出入額は、前年同期比5%増の1,2595,000万元(約25,190億円、1元=約20円)に達し、同省の輸出入額全体の33%を占めた。また、税関が同省で発行したRCEP加盟国用の原産地証明は計9,614枚、輸出先国はRCEP加盟国のうち10カ国に及んだ(「遼寧日報」726日)。

大連税関関係者によると、725日時点で遼寧省内の「認定輸出事業者」は計14社に上り、その約半数を日系企業が占めるという。中国東北地域で初めて「認定輸出事業者」に認定された光洋軸承大連(2022222日記事参照)に近況を確認したところ、同社は「認定輸出事業者」の認定により、貨物輸出時にその都度行っていた原産地証明の発行依頼が不要となり、同業務対応が不要となったなどから、年間約100万元程度の人件費削減が見込まれるという。また、2月に韓国でのRCEP協定発効後、同協定の積極的な活用により、韓国との貿易額が前年比2倍となった。光洋軸承大連の担当者は「(新型コロナウイルス対策の)上海市都市封鎖などの影響にもかかわらず、当社の16月の生産量は前年同期比10%増となり、RCEP協定の恩恵は大きい」と述べた。

このほか、大連市の日系メーカー関係者によると、大連工場で使用する原材料の多くはRCEP加盟国から輸入しており、2022年度と2023年度はそれぞれ数百万元の関税減免効果が期待できるとしている。加えて、自社のみならず、サプライヤーにもRCEP協定の利用を促し、一層の調達コスト削減につなげていると述べた。

大連市の日本食品輸入業者は「RCEP協定活用で初年度は、日本酒の輸入関税は40%から38.1%に、ワインの輸入関税は14%から12.7%となる」と述べ、今後は年数を重ねることでさらなる関税削減が予想されるため、積極的に利活用予定だという。

(高文寧)

(中国)

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