7月のインフレ率は7.4%、年率71.0%、4カ月連続で過去30年間最高水準を更新

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年08月18日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は811日、7月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。全国平均値は前月比7.4%上昇し、過去20年間で最高水準を更新した。前年同月比(年率)では71.0%上昇し、4月、5月、6月に引き続き、過去30年間で最高を更新した(添付資料図参照)。1月~7月の累計上昇率(前年12月比)は46.2%に達した。

INDECによると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは、7月単月の上昇率で前月比11.3%と、大幅に上昇した。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは4.9%、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は7.3%上昇した。

7月単月の上昇率を費目別にみると、前月比で大きく上昇したのは、娯楽・文化(13.2%)、家財道具・住宅管理(10.3%)、外食・ホテル(9.8%)など(添付資料表1参照)。INDECは、冬のバケーションシーズンによる需要増が大きく影響したと、上昇の要因を分析している。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は6.0%だった。

ジェトロが月15日にブエノスアイレス市内で価格調査を行った結果、牛乳、卵、砂糖、炭酸飲料など、食品・飲料の価格が前月比で2桁上昇した(添付資料表2参照)。

7月にはマルティン・グスマン氏が経済相を辞任し、後任のシルビナ・バタキス氏の手腕が不安視され、為替市場が混乱した。83日にはバタキスの経済相就任から1カ月足らずで辞任を強いられ、セルヒオ・マッサ下院議長が後任として任命された(2022年8月8日記事参照)。マッサ経済相の就任後、為替市場は落ち着きを見せているものの、8月のインフレ率は依然として高水準にあると政府関係者は見通しを明らかにしている(811日現地紙「インフォバエ」)。

中央銀行が毎月集計する民間エコノミストらの経済見通し(REM)の最新結果によると、2022年のインフレ率見通しは90%を超えている。これは1989年のハイパーインフレ以来の高水準となる。

写真 ブエノスアイレス市内のスーパーマーケット(ジェトロ撮影)

ブエノスアイレス市内のスーパーマーケット(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 a9f82d9cf4f2cca3