旧フィンランド系乳製品大手、ブランド・ロゴ一新で再出発

(ロシア、フィンランド)

欧州ロシアCIS課

2022年07月26日

フィンランドの乳製品製造大手企業のロシア子会社だったワリオは714日、これまで同社のロシア展開ブランドの1つだったウィオラを同社の旗艦ブランドとし、8月以降、会社の新しいロゴを付した乳製品を展開すると外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

旗艦ブランドの設定とロゴ変更は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を理由に、フィンランドの親会社ワリオ(注)がロシア市場から撤退を表明し、ロシア食肉加工製造大手ウェルコムグループへ事業を売却することが決まったことが背景にある。ウェルコムグループは、ワリオ・ロシア法人の株式やモスクワ州オジンツォボ地区のプロセスチーズおよびセミハードチーズの製造工場を含むワリオの全てのロシア国内資産のほか、ウィオラ・ブランドのプロセスチーズをロシア国内で生産・販売、商標を使用する権利を取得する。

これまでウィオラ・ブランドは、ワリオの代表的商品であるプロセスチーズと一部のバターに使われていたが、今後は牛乳、ヨーグルト、サワークリームを含む幅広い乳製品の旗艦ブランドとして売り出される。現在販売されているワリオの商品は、包装材の在庫が切れるか、商品が賞味期限を迎えるまで店頭に並ぶことになるが、2023年以降はウェルコムグループが権利を得た商品以外は販売することはできない。ワリオ・ロシア法人のナタリヤ・ドブルィニナ上級副社長は、今後販売する商品について、フィンランドの品質基準を維持し、品ぞろえや味は変わらないと説明した。

写真 ロゴ変更前のウィオラ・ブランドのプロセスチーズ(ジェトロ撮影)

ロゴ変更前のウィオラ・ブランドのプロセスチーズ(ジェトロ撮影)

写真 ワリオのサワークリーム。8月以降、ウィオラ・ブランドとして新しい会社ロゴを付したサワークリームも投入される(ジェトロ撮影)

ワリオのサワークリーム。8月以降、ウィオラ・ブランドとして新しい会社ロゴを付したサワークリームも投入される(ジェトロ撮影)

ワリオのロシア子会社は、1994年にフィンランド親会社の100%子会社として設立された。2020年の売上高は8,500万ユーロ相当に上り、親会社の全世界における売り上げの約5%を占めたが、親会社が撤退を表明してから子会社の売却先が決まるまでは早かった。軍事侵攻後の37日には親会社がロシア市場からの撤退を表明、1カ月半後の426日にはロシア子会社のウェルコムグループへの売却を発表した。

ウェルコムグループは今回の買収で、本業である肉加工品分野に加え、乳製品分野への参入を果たす。今後は取得したワリオのモスクワ工場のほか、パートナー企業が製造した乳製品をウィオラ・ブランドで販売を行う。

(注)フィンランド乳製品製造大手企業で、元親会社の「ワリオ」と元子会社「ワリオ」は同じ名称。

(菱川奈津子)

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