航空セクターの混乱抑えるため、22項目の計画発表

(英国)

ロンドン発

2022年07月07日

英国運輸省は6月30日、航空セクターの混乱を最小限に抑え、乗客を保護するための計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

英国では、大半のフライトが予定どおり運航されているものの、一部の乗客は混乱に直面している。政府はその要因について、新型コロナウイルス関連の英国~欧州間の移動に関する制限が解除されて海外旅行の需要が高まっていることや、新型コロナ感染拡大期間の離職に伴ってスタッフが不足していること、新規雇用時のバックグラウンドチェック(身辺調査)と訓練に時間を要することを挙げている。航空会社や空港はこの対処に追われており、例えば、ヒースロー空港は630日、対応可能な水準を超える搭乗予定者数が見込まれたため、航空会社に対して約30便を減らすよう要請したと報じられている。

この混乱を解消するため、政府は導入済みの措置を含む22項目にわたる措置を発表。航空業界がスタッフを採用して訓練することを支援し、現実的な夏の運航スケジュールを確実に提供するための措置が含まれている。

具体的な項目は以下のとおり。

  • 空港の発着枠に関する新たな規制の導入により、航空会社のスケジュールを管理しやすくし、夏のピーク時の混乱を軽減する。
  • 今夏に飛行機で旅行する乗客向けにガイダンスを公開し、処理時間の短縮や遅延の削減につなげる。
  • 航空業界と大学とのパートナーシップ構築支援のプラットフォーム「タレントビューアビエーション(Talentview Aviation)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を設立、学生が航空業界のキャリアに魅力を感じ、就職へとつながるよう支援。また「航空技能採用プラットフォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を立ち上げ、経験者の求職・採用を支援。同プラットフォームでは、個人向けにトレーニングコースや求人情報の検索、企業向けに求人情報の掲載や求職者への連絡などを可能にすることで、マッチングを実施。

73日には同じく運輸省が航空スタッフの新規雇用前に実施が必要な国家安全保障審査チェック(職歴、国籍、犯罪歴などのチェック)の迅速化の状況についても発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政府は航空業界のチェック迅速化に向けて優先措置を導入している。例えば、テロ対策に関するチェックについて、同措置導入前の3月は平均20日間要していたが、現在はその半分の平均10日未満で処理されているとして措置の有効性を示した。

政府は、労働力確保に向けた施策として航空業界の労働者向けに一時的なビザを発給することはしないとしている。

(菅野真)

(英国)

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