2022年1~4月の天然ガス輸出額が前年から倍増

(エジプト)

カイロ発

2022年06月08日

エジプトの石油・鉱物資源省からロイターが入手したデータによると、2022年1月から4月の天然ガスの輸出額が前年同期比98%増(約2倍)の約39億ドルになった(「ロイター」2022年5月31日)。欧州は、ウクライナへ侵攻したロシアへの制裁措置として天然ガスの調達先を切り替えており、エジプトからの輸入拡大も進めていた(2022年2月22日記事参照)。国際的な天然ガス価格上昇も輸出金額の増加を後押ししたとみられる。

なお、ロイターによると、2020年は新型コロナウイルスの影響による需要減や天然ガス価格低迷などにより天然ガスの輸出は4億5,600万ドルと落ち込んだが、2021年には約40億ドルに増加していた。

エジプトでは、イタリアの石油・ガス大手のENIなどが、地中海沖近隣を中心に天然ガスを採掘する。同社はエジプト政府からエジプト各地での調査採掘の許可を受けており、天然ガスの調査・生産・輸出を続けてきた。2022年4月にも新たなガス田を発見し、イタリアなど欧州への輸出の合意が公表されている(2022年4月27日記事参照)。

エジプトは、東地中海地域において唯一、現在稼働する天然ガス液化施設を保有し、近隣国からの液化天然ガス(LNG)供給の拠点を目指している。欧州の天然ガスの調達多角化の候補の1つとなるイスラエルでも、エジプトの天然ガス液化施設を利用して欧州向けに供給する計画が検討されている。

(井澤壌士)

(エジプト)

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