ifo経済研究所、2022年のドイツ実質GDP成長率を下方修正

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

ミュンヘン発

2022年06月28日

ドイツの主要経済研究所の1つ、ifo経済研究所は6月15日、夏季経済予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年の実質GDP成長率を2.5%とし、3月に発表した春季経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから0.6ポイント下方修正した。総じて、「高インフレ、供給不足、ウクライナ軍事侵攻」が景気を減速させるとした。

同研究所は下方修正の主因として、輸出の減速による外需の落ち込みを挙げた。2022年の輸出は前年比2.9%増にとどまり、外需の寄与度は前回予測のマイナス0.8ポイントからマイナス1.4ポイントに引き下げられた。さらに、内需面では、総固定資本形成が大きく勢いを失うとしている。

他方、個人消費については、特に人との接触が多いサービス業は回復しつつあるが「新型コロナ禍」前の水準に戻っていないものの、今後数カ月でさらに急速に回復する可能性があるとした。同研究所は、2022年の個人消費を前年比4.8%増と見込んでいる。企業活動の面では、原材料・部品の供給不足が数カ月間継続し、物価高の要因にもなり、特に製造業と建設業への影響が大きいとした。一方、2022年後半には供給不足は徐々に緩和され、原材料価格高騰も落ち着くと予測した。企業の受注水準自体は高いため、供給不足が落ち着けば、製造業と建設業は2022年後半に急速に回復する可能性があるとした。

2022年のドイツの消費者物価上昇率は6.8%と予測、前回予測から1.8ポイント引き上げた。2023年の上昇率は3.3%と予測し、欧州中央銀行(ECB)が金融政策の目標とする2%(2021年7月12日記事参照)を超える。失業率は2021年の5.7%から改善し、2022年、2023年ともに5.0%と予測している。

他の機関による経済予測でも、経済成長率見通しの引き下げが相次ぐ。ドイツ産業連盟(BDI)は6月21日、2022年のドイツの実質GDP成長率を、年初予測の約3.5%から約1.5%に下方修正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドイツ連邦銀行は6月10日、2022年の実質GDP成長率を1.9%とし、2021年12月の予測から2.3ポイント下方修正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州委員会は2022年5月に発表した春季経済予測(2022年5月18日記事参照)で、ドイツの2022年の実質GDP成長率を1.6%とし、2月の冬季経済予測から2.0ポイント引き下げた。

(高塚一)

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

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