北京市、5月12日から公共施設への入場に48時間以内のPCR検査陰性証明の提示が必要に

(中国)

北京発

2022年05月12日

北京市では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月下旬から大規模なPCR検査や管理強化エリアの行動制限など防疫対策が強化されている(2022年4月26日記事5月2日記事参照)。北京市政府は5月9日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた厳格な管理の継続に関する8項目の措置を発表した。主な内容は以下のとおり。

  • 5月12日から、政府機関・事業単位(注1)、オフィスビル、スーパー、ホテル、飲食店などの公共施設への入場に際して、48時間以内のPCR検査陰性証明の提示が必要となる。
  • イベント会場、娯楽施設、ジム、図書館、美術館など室内施設の暫定的な営業停止、公園への来場者の上限を通常の50%に制限するなどの措置を継続する。
  • 飲食店は、店内飲食の停止を継続する。
  • 全ての幼稚園、小学校、中学校、高校、専門学校において、オンライン授業を継続する。
  • 重点地域(区)およびその他の区内の街道や郷・鎮(行政単位)ではPCR検査によるスクリーニングを継続し、リスクがある業種、場所などの重点人員を対象に常態化したPCR検査を実施する(注2)。
  • 朝陽区全域および公共交通機関の運行が調整(運行の一時停止など)されている地域に生活・勤務する市民は引き続き在宅勤務を行うかあるいは自宅と職場等の地点間での移動のみとし、商業用オフィスビルやオフィス型企業の従業員は原則在宅勤務とする。政府機関、中央所属の国有企業(注3)および事業単位、大企業の統括本部などは、原則出社率を50%以下とする(注4)。

また、同日の記者会見では、5月12日から公共施設に入る際に48時間以内のPCR検査陰性証明の提示が求められることに対応するため、5月10日から区ごとに奇数日と偶数日に分けてPCR検査を行うと発表された。東城区、西城区、朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区の6区では奇数日に、順義区、通州区、昌平区などの11区では偶数日にPCR検査を行うとしている(注5)。また、上記の区のうち重点スクリーニング区域に入っている区は求められる措置に基づいて検査を行い、それ以外の区は市民が各自の状況に応じて自主的に検査を受ける。このほか、市内各区の24時間対応のPCR検査場は一部の市民の特別な検査ニーズに対応するため通常どおり利用可能にするとしている。

なお、孫春蘭国務院副総理は5月9日、大都市で徒歩15分圏内にPCR検査ステーションを常設すると表明した。今後他の大都市でもPCR検査の常態化と体制整備が進む可能性がある。

(注1)事業単位とは、社会のために事業を行い、経済的利益の追求を行わない団体を指す。主に教育、科学技術、文化、衛生管理などの活動が行われている。日本の独立行政法人や特殊法人に相当する組織。

(注2)北京市衛生健康委員会の李昂副主任は、5月9日の記者会見において、5月10日、11日、12日の3日間、朝陽区、順義区、房山区の3区の全域と、その他の14区で直近7日以内に新型コロナ陽性者が確認された街道や鎮において、連続して3回のPCR検査によるスクリーニングを実施すると述べた(「北京青年報」5月9日)。

(注3)国有資産監督管理委員会が政府を代表して、出資者の権限を行使する国有企業。

(注4)実際には企業や住宅の所在する街道、社区や小区によって対応が異なる状況となっている。

(注5)PCR検査機関には有料のものと無料のものが存在する。

(張敏)

(中国)

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