中国欧盟商会調査、厳格な新型コロナ対策で2割超の企業が対中投資計画の変更を検討

(中国)

上海発

2022年05月11日

中国欧盟商会(注)とドイツ・コンサルティング会社のローランドベルガーは5月5日、中国の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の防疫措置と、ウクライナ情勢による在中国欧州企業への影響調査の結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同調査は、4月21日から4月30日にかけて実施し、同商会会員のうち、372社からの回答を得た。

調査報告では、2022年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大によって少なくとも45都市で全域もしくは一部ロックダウンが発生し、企業の生産や経営に大きな不確実性がもたらされたと指摘。企業経営に「深刻な影響がある」と回答した企業が全体の4分の3を占めた。具体的な影響としては「物流・倉庫(面の影響)」、「出張の一時停止」、「オフライン会議の取消し」の3分野を挙げた割合が高く、それぞれの回答割合は94%、97%、94%に達した。このほか、港の閉鎖、道路貨物輸送量の減少および海上運賃高騰などにより、92%の企業がサプライチェーンに「深刻な影響がある」と回答した。

2022年の売上高については、6割の企業が「減少見込み」と回答した。中国の新型コロナウイルス感染に対する厳格な防疫措置により、投資目的地としての中国の魅力が減退すると認識している企業は78%に上った。また、厳格な防疫措置によって、23%の企業が、進行中もしくは計画中の中国での投資を、中国以外の国・地域へ移転することを検討していると回答した。対中投資からの振り替えを検討していると回答した企業数は、2022年当初に比べて倍以上に増え、過去10年間でもっとも高い数値となった。

また、82%の企業が、新型コロナウイルスの無症状感染者もしくは軽症感染者の自宅隔離を許可し、公共医療システムに対する圧力を軽減すべきと回答した。中国欧盟商会は4月8日、防疫対策の見直しについて、胡春華副首相に対して要望書を送付している(2022年4月18日記事参照)。

そのほか、ウクライナ情勢の影響により、7%の企業が、進行中もしくは計画中の中国での投資の取消しを検討していると回答した。また、3分の2近くの企業が中国と欧州間の物流の中断リスクに直面しているとしている。

(注)中国欧盟商会は、中国に進出した欧州企業(会員企業数:約1,800社)で構成し、商工会議所に相当する。

(龐婷婷)

(中国)

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