ウクライナ情勢が、イタリア国内の再エネ開発加速化を後押し

(イタリア)

ミラノ発

2022年03月22日

ウクライナ情勢を受けたエネルギー供給の逼迫が、イタリアの再生可能エネルギーの開発を後押しする可能性がでてきた。イタリア政府は3月10日、バジリカータ州、プーリア州、サルデーニャ州にある6つの風力発電所の建設を承認した。稼働すれば418メガワット(MW)の電力が生産できる。

既に2月18日にバジリカータ州で65.5メガワットの風力発電設備 2カ所が承認されており、今回6カ所が追加された。3月12日付のラ・レプッブリカ紙によると、同プロジェクトでは、景観を重視する文化省と再生エネルギー開発を推し進めたい環境省とのせめぎあいが続いていていたが、ウクライナ情勢を原因とするエネルギー不足への懸念により、マリオ・ドラギ首相が介入して実現するかたちとなった。

再エネインフラ整備の障壁となる規制の見直しに言及

イタリアでは以前から、太陽光発電や風力発電拠点の認可プロセスに時間がかかることが問題視されていた。ドラギ首相は3月9日の下院での質疑応答において、今後予想されるエネルギー調達難について、洋上風力についての認可を加速させる旨を発言しており、さらにエネルギーの国内生産の後押し、バイオガスなど再生可能エネルギーのインフラ整備に関して障壁となっている規制を一時的に停止する可能性についても述べていた。

また、イタリア産業連盟のエネルギー関連下部組織であるエレットリチータ・フトゥラ(Elettricità Futura)のアゴスティーノ・レ・レバウデンゴ会長は、3月9日付イル・ファット・クォティディアーノ(Il Fatto Quotidiano)紙における寄稿記事で、政府や州に対し、6月までに60ギガワット(GW)規模の新しい再生可能エネルギー発電設備について認可プロセスの簡素化を要請していたことを明らかにした。また、同氏は、バイオガスの生産規模についても、現状の1億4,000万立方メートルから100億立方メートルへ拡張できるとし、現在建設中の設備や新規のプロジェクトや投資の障壁となる法令の修正も求めている。

(平川容子)

(イタリア)

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