メキシコ大統領はロシアへの経済制裁否定、ウクライナとロシア両国との関係維持重視

(メキシコ、ロシア、ウクライナ)

メキシコ発

2022年03月03日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は3月1日の記者会見で、ロシアによるウクライナに対する軍事行動をめぐり、「メキシコは世界中の全ての国の政府と良好な関係を保ち、対立する双方の国と対話が可能な状況を維持するために、ロシアに経済制裁を科すことはない」とし、「明確なのは、メキシコは、それがロシアによるものであれ、中国によるものであれ、米国によるものであれ、あらゆる侵略に反対の立場ということだ」と発言した。

ロシア政府系メディアのスプートニクの記者から、メキシコに進出済みのロシア企業の操業やアエロフロート・ロシア航空便の乗り入れを制限する計画があるかを問われて答えた。大統領はまた「国連を通じて人道的支援がウクライナに届くように取り組んでいる」とした上で、「それ以上のことはできない。紛争の当事者のように振る舞うべきではない」と話し、ロシアに制裁措置を取る考えがないことを明らかにした。さらに、別の記者からウクライナ市民への支援やロシア人の入国可否について質問されると、「メキシコは難民を含む全ての人に開かれた国であり、これからもそれは変わらない」とし、特定の国民の入国制限やメディアなどの検閲は一切行わないとコメントした。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2月21日、ウクライナ東部でロシアへの編入を求める分離独立派が実効支配する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を国家として承認すると、同日、メキシコのマルセロ・エブラル外相は自身のツイッターで「メキシコは対立の平和的解決を望んでおり、ウクライナ領土の一体性と国連憲章を尊重する」と表明していた。また、24日にロシアがウクライナ領土内での軍事行動を開始すると、エブラル外相は自身のツイッターに動画を掲載し、「メキシコはロシアの侵略を強く非難し、即時の停戦と外交的解決によりウクライナ市民の保護を実現するように呼びかける」とつづった。

(松本杏奈)

(メキシコ、ロシア、ウクライナ)

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