黒字企業の割合が72%で過去最高に、海外進出日系企業実態調査(中国編)

(中国)

中国北アジア課

2022年02月25日

ジェトロは2月25日、「2021年度海外進出日系企業実態調査(中国編)」を発表した。同調査は2021年8月25日から9月24日にかけて在中国日系企業1,553社を対象に、オンラインで実施、685社から有効回答を得た(有効回答率44.1%)。

2021年の黒字企業の割合は中国全体で72.2%と、「新型コロナ禍」で落ち込んだ2020年度調査(63.5%)から8.7ポイント上昇し、非製造業を調査対象に含めた2007年度以降の調査としては過去最高の水準になった。黒字の主な要因として、「現地市場での売上増加」や「輸出拡大による売上増加」が挙げられた。

今後1~2年の事業展開の方向性については、「拡大」と回答した企業は40.9%で、2020年度調査(36.6%)から4.3ポイント上昇したが、「新型コロナ禍」前の2019年の水準(43.2%)までは回復しなかった。業種別にみると、製造業では「鉄・非鉄・金属」「電子・電子機器」、非製造業では「運輸業」で「拡大」の割合が2020年度調査より10ポイント以上上昇した。「縮小」または「第三国(地域)への移転・撤退」と回答した企業は3.8%と、2010年度調査(3.4%)以来の低水準となった。

経営上の問題点では、「従業員の賃金上昇」(72.4%)が2020年度調査より9.1ポイント上昇し、引き続き最大となった。上位10項目の中では、「人材(一般スタッフ・事務員)の採用難」(32.1%)、「人材(中間管理職)の採用難」(28.1%)が2020年度調査からそれぞれ12.7ポイント増、7.5ポイント増となった。

また、約5割の企業が中国での累積収益額のうち「ほとんど」もしくは「半分程度」の割合を中国国内での生産や販売などの能力拡張の投資原資として活用していることが分かった。「収益額のほとんどを投資している」、もしくは「収益額の半分程度を投資している」と回答した割合の合計を業種別にみると、製造業が非製造業を23.7ポイント上回った。

そのほか、中国での累積収益額に占める社会貢献(CSR)事業への支出比率が1%を超える企業の合計は約1割、支出比率が0.1%を超える企業まで含めると比率は約4割に上った。

(亀山達也)

(中国)

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