スタートアップに新たな出会い創出、「FUSE」Vol.2開催
(日本、米国)
イノベーション促進課
2022年02月03日
日本のスタートアップ・エコシステムの国内外への発信と新結合の実現をコンセプトとしたイベント「成長産業カンファレンス『FUSE』Vol.2」のカンファレンスセッションが1月20日、オンラインで開催された。フォースタートアップスとCIC Japanが共催したこのセッションに、国内外のスタートアップや大手・中小企業、アカデミア、行政機関などから多くの有識者が集い、その経験や協業・共創事例を発信した。
「人」がカギとなるスタートアップのグローバル展開
「グローバルに通じる、スタートアップ・エコシステムの構築に向けた官民の戦略」と題したセッションでは、人材の流動性、特に経営人材の不足が日本のスタートアップ・エコシステムの課題として挙がった。経済産業省の亀山慎一郎氏は「やりがいや成長機会を求めて(大企業から)スタートアップに転職する人も増えてきている。そうした人を支援する施策も実施している」と、スタートアップ向け経営人材支援事業「SHIFT(X)」を紹介した。
また、スタートアップが事業をグローバルに展開するために必要なこととして、ジェトロの島田英樹スタートアップ支援課長は「現地や業界に精通した人にアドバイスを受けることが大切。(海外知見のある日本人はもちろん)オンラインで海外の方にもアプローチするといい」と、指南役となる人との出会いの重要性を語った。
日本での協業に取り組む海外スタートアップ
「オープンイノベーションによって実現する食の変革」と題したセッションでは、食分野で日本企業と協業に取り組む、ラーメンの自動販売機を開発した米国スタートアップYokai-Express創設者兼最高経営責任者(CEO)のアンディ・リン氏が協業のパートナーの東日本旅客鉄道(JR東日本)の服部暁文氏とともに登壇した。
リン氏は「米国では深夜に他のレストランが開いていないため、多くの人がYokai-Expressのラーメンを購入している。日本でも労働力不足や長時間労働が問題になり、深夜に開いているレストランは減少している。私たちの製品は(そうした社会課題の)ソリューションとなるだろう」と日本展開への意欲を語った。
Yokai-Expressとの協業について、服部氏は「JR東日本を含む日本企業の多くが自社のリソースに基づいたサービス展開を行っている。それに対して、シンプルでありながら、顧客のニーズを捉えたマーケットインなYokai-Expressの提案は非常に魅力的だった。(協業での現在の)課題はサービスを日本市場や文化に合わせることだ」と今後の展望を語った。
「成長産業カンファレンス『FUSE』Vol.2」では、カンファレンスセッションに加えて、オンラインイベントツール「Event Hub」を通じて登壇者・参加者同士が交流する機会が設けられている(交流期間:1月10日~2月28日)。このイベントの開催を通じて、国内外スタートアップのさらなる成長が期待される。
(植田百香)
(日本、米国)
ビジネス短信 a13fa98217cccd87