商務部など6部門がRCEP協定の実施に関する指導意見を発表

(中国)

北京発

2022年02月01日

中国・商務部など6部門は1月26日、「RCEP協定の質の高い実施に関する指導意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、意見)」を発表した。「意見」は、(1)地域的な包括的経済連携(RCEP)協定(以下、協定)における市場開放に関する承諾とルールの活用、(2)製造業のグレードアップと産業競争力の引き上げ、(3)国際標準における協力と事業化、(4)金融による支援、(5)地方政府による協定ルールを活用したビジネス環境の改善、(6)企業に対するサービス、の6つの分野について、各担当部門に取り組みを求めるものとなっている。

(1)では、企業が衣服・靴、バッグ、玩具、家具、電子製品、機械設備、自動車部品、オートバイ、化学繊維、農産品などの中国が優位性を有する品目の輸出を拡大し、先進技術、重要設備、コア部品、消費財、医薬品、リハビリ・養老介護設備などの輸入を増やすよう奨励するとした。また、加盟国と原産地オンラインネットワークの構築を模索すること、企業が協定による恩恵を享受できない問題が起きた場合に解決をサポートすること(注1)、加盟国間で動植物検疫措置の同等性を認めることを模索すること、加盟国の取る貿易の技術的措置について研究することなども盛り込まれた。

(2)では、協定を利用して製造業のコアとなる競争力や技術革新を強化する一方、域内市場の開放に伴う貿易リスクについてアラートモニタリングや法律サービスを強化し、産業のセキュリティを守るために貿易救済措置を法に基づいて運用する、などとした。

(3)では、加盟国の主な貿易分野のニーズに焦点を当て、国際標準の適用可能性に関する分析と各国の重要技術指標の比較を行った上で中国が国際標準を採用すべき重点分野を提起し、そうした分野において国際標準の採用を加速して中国標準と国際標準の一致性を高めること、域内の標準調和のニーズに基づき、国際標準を中国の国家標準として採用する際に迅速な審査を行うこと、加盟国との間で標準化に関する協力のプラットフォームを構築すること、加盟国の標準化体制や適合性評価(注2)の手続きについて研究し、適合性評価結果の相互承認を進めること(注3)、域内の貿易投資において人民元決済を推進することなどの取り組みが示された。

今回「意見」で取り上げられた重点取り組みに関して、各担当部門において今後、より具体的な関連規定の公布などが進められることが期待される。

(注1)同取り組みの担当部門は、税関総署と中国国際貿易促進委員会(CCPIT、中国の貿易振興機関)となっている。また、1月26日の商務部記者会見において、税関総署関税司の邸杰副司長は、企業が協定による恩恵を享受できない状況に遭遇した場合は税関に対して速やかに状況を報告するよう求めた。その上で、加盟国税関の通関に関する調整メカニズムや、商務部・CCPITと構築しているFTA実施メカニズムを通じて、企業の実務的問題を迅速に解決すると表明した。

(注2)製品・サービスなどが標準・規格の要求を満たしているかどうか評価すること。

(注3)国家市場監督管理総局国際司の韓建平一級巡視員は1月26日の記者会見において、既に加盟国との間で標準化に関する基礎研究を実施しており、今後は重要な商品や生産能力協力に関する分野で中国と加盟国の標準の比較分析を行い、加盟国との標準の調和を進めていくとした。また、適合性評価については今後、協定の枠組みの下で、工業製品や消費財、食品などの加盟国市場への参入に向けて、柔軟で効果的な適合性評価の相互承認協力メカニズムを検討・推進していく、とコメントした。

(小宮昇平)

(中国)

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