物流企業はコンテナ輸送価格の高止まりが続くと予想

(サウジアラビア)

リヤド発

2021年12月13日

新型コロナウイルス感染拡大後の経済回復に伴う世界的なコンテナ不足やコンテナ輸送コストの高止まりは、日本の対サウジアラビア貿易にも影響が出ている。

ジェトロが2021年10月、サウジアラビア向け海上輸送取り扱い物流企業にヒアリングをしたところ、日本側の輸入に相当する、西部ジェッダ港から東京港向けの40フィートコンテナ輸送参考価格は2,000ドルと、2020年同時期と比較して約2倍に上昇した。また、日本からの輸出に相当する、東京港からジェッダ港向けの40フィートコンテナ輸送価格は1万3,000~1万5,000ドルで6.8~7.8倍の上昇になり、東京から東部ダンマン港向けの40フィートコンテナは1万3,000ドルと約10倍の上昇になった。

また、当地企業に物流コスト上昇の影響を聞いてみると、取り扱い製品により、影響の度合いと対応可能な範囲にばらつきがあるのが実情となった。主な見方は以下のとおり。

  • 日本からのコンテナ船航路の本数・頻度もあり、日本発ダンマン向けは、日本発ジェッダ向けの約4倍のコストがかかる。このため、最近は仕向け地をジェッダに変更した。各都市へは陸送して対応している(進出日系企業A社)。
  • 海上コンテナ輸送コストは、新型コロナウイルス感染拡大前と比較して約5倍。所要日数も新型コロナウイルス感染拡大前の2倍程度かかっている。よって、仕向け地の変更を検討している(進出日系企業B社)。
  • 中国発サウジアラビア向けは、新型コロナウイルス感染拡大前の4~5倍のコンテナ輸送価格となったが、11月に米国航路からかなりコンテナがリリースされたと聞いており、一時期よりもコストは減少傾向にあるとの肌感覚がある。当社の輸入製品はバルクのため、最終小売理価格への転嫁はほとんどなかった(地場企業A社)。

ヒアリングを行った前述の物流企業は「サウジアラビア貿易は輸入が大半を占めることもあり(注)、サウジアラビアから各国向けのコンテナは比較的価格上昇が抑えられている。価格高騰の影響は各港発サウジアラビア向けが顕著だ。中国の旧正月に向けてピークは続くと見る。輸送価格の高止まりは2022年いっぱい続くのでは」と予想しており、引き続きビジネスへの影響が続くものとみられる。

(注)民間物流会社が介入する一般製品のみ。専用タンカーを利用する石油・ガスを除く。

(柴田美穂、位田陸)

(サウジアラビア)

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