シャーマン米国務副長官、中国の王毅外相らと会談、人権問題などで懸念を表明

(米国、中国)

米州課

2021年07月29日

ウェンディ・シャーマン米国務副長官は7月26日、訪問先の中国・天津で王毅国務委員兼外交部長らと会談した。米中高官による直接対話は、3月18~19日のアラスカ州での会談以来となった(2021年3月23日記事参照)。ネッド・プライス米国務省報道官の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、シャーマン副長官と王国務委員は、さまざまな問題について「率直かつオープン」に議論し、両国間の開かれたコミュニケーションラインを維持することの重要性を示した。また、両国は、米中関係の責任ある管理のための条件を設定する方法について議論したとしている。シャーマン副長官は、米国は両国間の厳しい競争を歓迎しており、今後も競争力を強化していくつもりだが、中国との対立を求めているわけではないことを強調した。

会談の中でシャーマン副長官は、米国の価値観や利益、同盟国やパートナーの価値観や利益に反し、国際的なルールに基づく秩序を損なう中国のさまざまな行動について懸念を示したという。具体的には、香港での反民主主義的な弾圧や、新疆ウイグル自治区やチベットなどでの人権問題、さらに、サイバー空間や台湾海峡、東シナ海、南シナ海での中国の行動に対して懸念を表明した。

一方、両国は、気候変動問題、麻薬対策、核不拡散、北朝鮮、イラン、アフガニスタン、ミャンマーなどの地域問題などでの協力の重要性を確認した。

シャーマン副長官は、会談後の電話インタビューで「米国と中国の関係は複雑で、その結果、われわれの政策も非常に複雑なものになっている」と語った(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版7月26日)。

(中溝丘)

(米国、中国)

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