大統領演説、新型コロナ感染拡大で「調整された警戒レベル3」に引き上げ、酒類販売禁止へ

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年01月06日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は12月28日、新型コロナウイルス感染対策の進捗に関する国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。現在、国内は「極めて危険な状況」にあると述べ、国家コロナウイルス評議会や州知事らとの協議の下、全土に敷いている警戒レベル1(2020年12月16日記事参照)を即日で「調整された警戒レベル3」(Adjusted Level 3)に引き上げることを内閣が決定したと発表した。経済活動を可能な限り制限しないため、過去の新型コロナウイルス対応で得た経験も踏まえ、以前のレベル3で課していた制限(2020年7月14日記事参照)を一部調整したと述べた。

今回の引き上げによって設けられた制限の主な内容は以下のとおり。

  • 50人以下の葬儀などの例外を除き、全ての屋内外での集会を14日間禁止
  • 全土で外出禁止時間を午後9時~翌日午前6時に延長
  • 非生活必需品を販売する店舗やレストランの営業は午後8時まで
  • 店頭での酒類の販売・消費の禁止、公共の場での飲酒も禁止

ラマポーザ大統領は、「調整された警戒レベル3」は1月15日まで継続する見込みで、これらの制限は今後数週間の感染拡大速度や医療体制の状況を見ながら見直す予定だとした。詳細は翌12月29日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載された。

ラマポーザ大統領は、国内で確認された新型コロナ変異種「501.V2」(2020年12月22日記事参照)は第1波のウイルスより強い感染力を持っていると国内の研究者チームが分析しているとし、年末休暇シーズンの大型イベントや家族の集会、パーティーが感染急拡大を加速させたとした。また、患者の急増により、多くの州の公立・私立病院で集中治療病床をはじめ医療体制が既に逼迫していることに加え、休暇シーズンの過度な飲酒などにより外科病棟に不要な負担がかかっていると厳しく指摘した。

南ア政府による1月3日時点での発表では、同日の新規感染者は1万1,859人、陽性率は32%で、新規感染者が連日1万人台の状況が続いている。一方で、ズウェリ・ムキゼ保健相は同日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、政府は2021年末までに人口の67%に新型コロナワクチンを投与する「ワクチン展開戦略」を進めていると発表した。

なお、国際線の運航は離発着できる空港を限定しつつ、現在も継続している。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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