華東地域の米国企業、約6割が大統領選挙結果の影響を楽観視

(中国、米国)

北京発

2020年12月17日

華東地域などの米国企業が加入する上海米国商会は11月19日、米国大統領選挙結果の影響などに関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同調査は11月11日から15日にかけて実施し、124社の会員企業から回答を得た。結果からは、多くの在華東米国企業がバイデン政権の成立に期待を寄せているものの、米中間の経済貿易摩擦については当面継続する、と見込んでいることがうかがえる。

米国大統領選挙の結果が中国での自社ビジネスに与える影響に関しては、62.9%が「楽観的」と回答し、「悲観的にみている」という回答は1.6%にとどまった。また、バイデン政権成立後の中国への投資戦略について、53.2%が「大統領選挙の結果によって投資計画に変更はない」と回答したほか、19.4%は「まだ決定していない」、13.7%は「中国への投資を増やす」と回答した。

貿易障壁や関税については、84.7%が「今後増加しない」あるいは「一定程度減少する」「大いに減少する」と回答し、バイデン政権において米中双方の追加関税賦課が緩和されることへの期待感が示された。他方、米中間の貿易摩擦については、32.3%が「今後1~3年は継続する」、29.8%は「無期継続する」との見通しを示しており、米国の政権交代後も、状況が抜本的に改善される見込みは薄い、とみている企業が多い。バイデン政権が中国との通商関係においてどのような政策を採用するかについては、「より多くの関税を課す」が5.6%にとどまる一方、「日本やEUなどと協力して圧力をかける」(70.2%)、「WTOなど国際的な紛争解決機関」(41.9%)、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)などのFTA」(41.9%)など、多国間や国際機関を活用したアプローチで中国に対応すると見込んでいる。

2020年の中国事業の売上高については、47.6%の企業が「2019年よりも改善する見込み」と回答した。2020年6月に実施した調査結果と比べて15.1ポイント上昇しており、企業業績が改善傾向にあることがうかがえる。

中国からの生産拠点移転の有無については、製造業企業の82.4%が「今後3年以内に生産移転を計画していない」と回答した。他方、10.3%の企業は「今後3年以内に生産の20%以上を中国以外に移転することを検討している」とした(注1)。

このほか、中国の進める「双循環」(注2)については、46%が「自社のビジネスに利益があるか表明するのは時期尚早」とした一方、小売業種の企業は54%が「プラスにはたらく」と回答している。

(注1)非製造業企業も含む回答企業全体でみると、「今後3年以内に生産の20%以上を中国以外に移転することを検討している」企業は5.6%となる。

(注2)第14次5カ年規画(14・5規画、2021~2025年)の原案において、国内の大循環を主体とする、国内と国際の2つの循環(双循環)が相互に促進する新たな発展局面の構築を加速することが盛り込まれた(2020年11月6日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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