シンガポール、英国とのFTAに署名、ASEANでは初

(シンガポール、英国)

シンガポール発

2020年12月14日

シンガポール貿易産業省は12月10日、英国との自由貿易協定(FTA)に署名したと発表した。英国のEU離脱により2020年12月31日に移行期間が終了することに伴い、新協定を締結するもの。ASEAN10カ国の中で英国とFTAを署名するのはシンガポールが初となる。

新協定は「物品貿易」「サービス貿易」「政府調達」「非関税障壁の撤廃」などで構成され、シンガポールがEUと締結しているFTAとほぼ同じ内容だ。貿易協定に設けられた原産地規則の1つの「累積」では、EUシンガポールFTAと同様、英国からシンガポールへの輸出に当たっては、EU27カ国から調達した原料や部品を原産品として含めることができる。また、シンガポールからEU向け輸出でもASEAN累積の概念が継続される。

シンガポールのチャン・チュンシン貿易産業相は「英国とのFTA締結は両国関係を強化・深化するもの。両国ビジネス環境の継続と確実性を提供し、英国によるアジア地域への関与を深めるきっかけになる」とコメントした。また、英国は環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への参加に関心を示しており、シンガポール政府として歓迎し、サポートする意向を示した。

今後、両国はFTA批准に向けた手続きを進め、早期の発効を目指す。

同協定に加え、両国政府は同日、英国・シンガポールのデジタル経済協定(DEA)締結に向け、交渉を開始することでも合意した。2021年に交渉開始が予定される。DEA協定では、両国間の金融サービス、デジタル経済を促進するほか、サイバーセキュリティーや先端技術における効果的なグローバルスタンダードを構築する。

(藤江秀樹)

(シンガポール、英国)

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