自動車消費拡大への取り組み強化、農村部で新車購入補助金支給を奨励

(中国)

北京発

2020年11月26日

中国国務院は11月18日の常務会議で、新型コロナウイルス感染拡大によるダメージが大きく、消費の回復が遅れているという認識を踏まえ、自動車購入規制の調整や農村部での自動車普及、農村消費の刺激、「インターネット+観光」への支援など、消費拡大に向けた取り組みを強化することにした。

自動車消費の安定・拡大では、各地方で行われている自動車購入規制措置を見直し、ナンバープレートの発給を増やすほか、条件を満たす農村部における3.5トン以下のトラックまたは排気量1600cc以下の乗用車の購入や、排出基準「国3」以下の自動車から新車への買い替えに対する補助金の支給を奨励すること、駐車場や充電スポットの建設を強化することを打ち出した。

商務部市場運行・消費促進司の担当者は、上海市で先般開催された中国国際輸入博覧会で、2019年の一定規模以上の企業による自動車販売額が消費全体を示す社会消費品小売総額の9.6%を占めたことを示し、自動車の販売促進が内需拡大にとって重要だと指摘した(「21世紀経済報道」11月19日)。

中国自動車工業協会によると、2020年1~10月の中国の自動車販売台数は前年同期比4.7%減の1,969万9,000台となり、2020年初来の累計では前年同期比マイナスが続いている。これまでも自動車購入規制の緩和や新エネ車購入に関する財政支援措置の延長など、自動車の販売拡大策などを相次いで打ち出していたものの、政策効果が不十分だとの声もあり、今回あらためてこれらの政策を強化するかたちとなった(2019年9月5日記事参照2020年5月12日記事参照)。

中国国際貿易促進委員会(CCPIT)研究院の趙萍副院長は、これまでの政策を受けて北京市などではナンバープレートの発給を増やしているが、効果は不十分だと指摘しつつ、農村部での自動車普及策や自動車買い換え支援策は自動車消費の拡大につながる措置だとして、これらの政策に期待を示した(「21世紀経済報道」11月19日)。

このほか、消費の潜在力が大きい旅行業について、新型コロナウイルスの防止・抑制対策が常態化した中での健全な発展を促進するため、同業界のインターネットの活用をサポートする取り組みが打ち出された。デジタル観光展示館の構築、オンラインマーケティングの強化やクラウド観光など新業態の発展を通じて観光業の活性化を図るとされた。

(張敏)

(中国)

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