欧州産業界、EU・米国間の協調関係の復活に期待

(EU、米国)

ブリュッセル発

2020年11月11日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は11月8日、声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、米国大統領選挙(11月3日)で当選が確実になったジョー・バイデン前副大統領に祝意を示すと同時に、航空機補助金をめぐって互いに追加関税措置を課す(2020年11月10日記事参照)など、近年は緊張関係にあったEUと米国の通商関係が対話と協調を重んじる方向に転じることへの期待を示した。

同連盟は声明で、大統領選挙前の7月に前向きなEU・米国関係の構築に関する提言書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことに触れている。この提言書では、EUと米国が関税の撤廃・削減、各種規格や標準の適合性評価手続きなどの交渉を進展させ、両者の関係を改善する一方で、WTO改革など多国間貿易に関する問題については、より強固な協力関係を築くことを提唱。欧州産業界は、米国のトランプ現政権の政策立案における保護主義と、一国主義的および管理貿易的な姿勢や、1962年通商拡大法232条に基づく関税の賦課などにみられる法解釈を特に懸念しているとするなど、トランプ政権に対する見方は厳しい。そうした米国に対して、EUはその利益を守り、必要であれば規則を強化し、両者の交渉が不調に終われば、WTOなど紛争解決機関へ提訴すべきだと主張していた。

しかし、政権交代が確実となったことを受け、同連盟は「EU、米国が共有する価値観に基づき、協力する時が来た」と、長年横たわる通商上の問題の解決や、両者が協力して国際貿易体制の改善を進めていくことに望みをかけ、欧州産業界はこうした動きを建設的に支援していく用意があるとした。

(滝澤祥子)

(EU、米国)

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