スロベニアで政権交代へ、最大野党・民主党のヤンシャ党首を首相に選出

(スロベニア)

ウィーン発

2020年03月10日

スロベニア議会の下院(定数90)は3月3日、これまで最大野党だった中道右派のスロベニア民主党(SDS)のヤネス・ヤンシャ党首を賛成多数(有効投票83票のうち52票)で新首相に選出した。2018年9月から中道左派の少数連立政権を率いてきた(2018年9月25日記事参照)マリャン・シャーレツ首相が政策目標を達成できないことなどを理由に1月27日に辞任したことを受けたものだ。シャーレツ氏は、当初、2022年予定の総選挙を繰り上げて実施し、議席を拡大する狙いだったが、ヤンシャ氏がその前に連立作業に成功し政権交代となった。

複数の当地報道によると、ヤンシャ氏率いるSDS(26議席)は、新しいスロベニア(9議席)のほかに、前政権の連立与党だった年金者党(DeSUS、5議席)と現代中央党(SMC、9議席)と新たに連立を組む。なお、SMCのミロ・ツェラル党首(元首相、現外相)は自身が設立したSMCの議員がヤンシャ政権に参加することに抗議して3月2日に離党した。

シャーレツ前首相が党首として率いるリスト・マリャン・シャーレツ党(LMS、13議席)は最大野党になる。

ヤンシャ氏は2004~2008年と2012~2013年にも首相を務めた経験がある。2013年には不信任決議案が可決されて首相を解任された。その後、収賄で懲役2年の判決を受けたが、この判決は2015年に最高裁判所によって取り消された。同氏は政治家としての復帰を狙い、2018年の総選挙でSDSが第1党になったものの、組閣に失敗して野党に回った。

ヤンシャ氏は首相選出前の審議会で新政権の主な公約として、地方分権化、移民に対する厳しい政策、国境警備の強化、防衛強化のための兵役の再導入を挙げた。同氏は首相選出から15日以内に組閣しなければならない。ヤンシャ氏は組閣後に正式に首相に就任する。2月27日付の「スロベニア・タイムス」紙は組閣に関し、SDSは内務、外務、財務、文化、環境などの閣僚ポストを担当予定と報じた。

(エッカート・デアシュミット)

(スロベニア)

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