欧州特許庁、2019年の特許申請に関する報告書を発表

(EU)

ブリュッセル発

2020年03月23日

欧州特許庁(EPO)は3月12日、2019年に申請された特許に関する報告書を発表した。それによると、2019年の申請数は18万1,406件となり、2018年の17万4,481件から4.0%増加した。

2019年の特許の申請状況を産業別で見ると、デジタル通信分野が前年比で19.6%増加し、申請数が最も多かった。2006年以降、最も多かった医療技術(同0.9%増)は第2位となり、コンピュータ技術(同10.2%増)、電気機械器具・エネルギー(同5.5%増)、輸送機器(同6.6%増)が続いた。報告書によると、デジタル通信分野では、第5世代移動通信システム(5G)の普及に必要となる技術に関する特許の申請数が貢献した。この分野では中国からの申請の伸び(64.6%増)が最も大きく、続いて米国、韓国も2桁の伸びを記録した。また、コンピュータ技術分野では、機械学習、パターン認識、画像処理、データ検索などの人工知能(AI)関連技術が申請数の増加に寄与した。

特許の申請状況を国別でみると、前年に引き続き米国からの申請数が最も多く、全体の25%を占めた。次いでドイツ(15%)、日本(12%)、中国(7%)、フランス(6%)、が続いた(表参照)。申請数の伸び率は、中国が最も高かった(前年比29.2%増)。

EPO加盟国では、ドイツからの特許申請数が最も多く、次いでフランス、スイス、オランダ、英国が続いた。過去2年間に継続して申請件数を伸ばしたドイツは、前年比0.5%増で前年度とほぼ同水準を維持したものの、フランスは、デジタル通信と自動車関連技術の特許申請数が減少した結果、同2.9%減となった。

表 EPOへの特許の申請状況

特許の申請状況を企業別でみると、華為技術〔ファーウェイ(中国)〕、サムスン(韓国)、LG(韓国)、ユナイテッド・テクノロジーズ(米国)、シーメンス(ドイツ)、クアルコム(米国)、エリクソン(スウェーデン)、フィリップス(オランダ)、ソニー(日本)、ボッシュ(ドイツ)が上位10社となった。

(大中登紀子)

(EU)

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