欧州製薬団体連合会、新型コロナウイルス対策で会員企業の連携呼び掛け

(EU)

ブリュッセル発

2020年02月05日

欧州製薬団体連合会(EFPIA)は2月4日、会員企業に対して、欧州でも感染拡大が懸念される新型コロナウイルス対策に活用できる診断法や治療法など、各社が保有する資産を特定するように要請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この要請は、EFPIAが同日発表した「新型コロナウイルスとの戦いへの参加」と題する声明の中で出された。EFPIAは「新型コロナウイルス感染者のケアやアウトブレークの阻止、将来的なアウトブレークに対処するためのリソース開発に向けた世界的な取り組みへの参加を約束する」との方針を打ち出している。

この目的のため、EFPIAは会員企業に対して、社内に持つ「(医療情報に関する)ライブラリー」の資産、具体的には、新型コロナウイルス対策に有効と考えられる診断法やバイオマーカー(疾病の存在・状況や進行度、治療効果などの指標となる生体内物質)、承認された治療法などを特定することを求めている。この中には、同ウイルス対策での効果が期待される「アンジオテンシン変換酵素PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(ACE)阻害薬」「プロテアーゼ阻害剤PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」「免疫療法」の特定も含むという。さらに、新しい治療法の開発または検証を支援するために活用できるシーケンスデータ(病原体やゲノム)などの情報も、潜在的に必要と考えられる資産リストにあるとしている。

EFPIAは、このほか、欧州の医療研究に関わる共同コミュニティーがEUの医薬品共同開発プログラムの「革新的医薬品イニシアティブPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)IMI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の枠組みを通じて、エボラウイルス対策のために2つのワクチンと4つの診断法などの新たな開発に成功した実績があるとしている。EFPIAは、こうしたアプローチが新型コロナウイルスのアウトブレークに対処するためのリソース開発を加速する可能性があるとみており、診断や治療法の開発を迅速に進め、ワクチン開発の世界的活動を補完する共同研究プログラムを支援する潜在的な手法を調査しているという。

(前田篤穂)

(EU)

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