新型コロナウイルスへの対策として、段階的な減税・費用削減措置など実施の方針

(中国)

北京発

2020年02月13日

中国共産党は2月12日、中央政治局常務委員会を開催した。習近平総書記(国家主席)は、現在、新型コロナウイルス感染の予防・抑制措置は最も重要な時期を迎えているとの認識を示した上で、感染の予防・抑制に向けた重点活動にたゆまず取り組むと同時に、感染状況が最も深刻、あるいはリスクの比較的高い地域では予防・抑制活動を強化しなければならないと述べた。同時に、2020年の経済や社会の発展目標の達成に向けて努力することも強調した。

常務委員会では、新型コロナウイルス感染がもたらす影響への対策として、マクロ政策の調整を強める方針が示された。

財政政策については、「積極的な財政政策の作用をよりよく発揮させ、資金投入を拡大し、各地の感染予防・抑制の資金ニーズに応える」との方針だ。具体的には、経営にマイナスの影響を受けている企業に対象を絞った段階的な減税や費用削減措置などを打ち出した。

金融政策では、「穏健な金融政策は柔軟に適度に維持する」との方針の下、防疫物資を生産する企業に優遇利率での資金貸し出しを強化することや、感染の影響が大きい地域、業界や企業への優遇金融サービスの整備を盛り込んだ。

内需については、積極的に拡大させるとし、地方政府の専項(特別)債権の用途を改善すること、重大プロジェクトの建設を加速させることなどを示した。

このほか、外商投資法と関連法規をしっかり運用することや、投資環境の改善を行うことにも言及した。

閉鎖や停止など極端な措置を速やかに是正

感染の予防・抑制の非重点地域では、県単位でリスク等級を評価し、県ごとのリスクに合わせて異なる予防・抑制戦略をとるとの方針を示した。各レベルの党委員会と政府に対しては、各地で工場や店舗などの生産や営業を再開できないことなどを念頭に、それらを単純に閉鎖や停止といった極端な措置や偏ったやり方を取ることを速やかに是正し、予防・抑制措置の生産および生活への影響を可能な限り小さくすることを求めた。

これに関連して、国務院の担当者は2月11日の記者会見で、一部地方が設けている生産や操業再開の審査制度について、「こうした手法は、科学に基づく感染予防・抑止および秩序ある企業の生産や操業再開を目指す中央の精神に合致せず、審査制度などの単純で乱暴な手段で企業の生産や操業の再開を制限することを厳格にやめさせる」と発言していた。党中央レベルでもあらためて閉鎖や停止といった極端な措置を是正する方針を打ち出したかたちだ(2020年2月12日記事参照)。

(藤原智生)

(中国)

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