付加価値税(VAT)の税率変更を検討

(モロッコ)

ラバト発

2019年05月27日

モロッコ政府は付加価値税(VAT)の税率を現行の5種類から4種類に変更することを検討しており、5月3~4日に開催された第3回課税協議会で、税率の変更案が提案された。

現行のVATは標準税率が20%で、軽減税率は以下のとおり。

  1. 0%:政府と調印した一部の投資プロジェクトで必要となる設備財・資材、農業用資材など。
  2. 7%:一部消費財、大衆車やその関連部品など。
  3. 10%:ホテル、外食、観光、銀行・為替業務など。
  4. 14%:交通、電力など。

今回の協議会では、標準税率は20%で変更はなく、それ以外の税率は以下の3種類が提案された。VAT収入の一部は社会保障の給付金に充てる予定だ。

  1. 0%:生活必需品。
  2. 10%:大量消費製品。
  3. 20%超(税率は未定):香水・高級車、ブランド服といった高級品。

この提案に対し、例えば医薬品(慢性疾患治療用を除く)は現行7%の税率を10%(大量消費製品の区分)に引き上げる案について、多くの批判の声が上がっている。品目ごとの生活必需品や大量消費製品へのカテゴリー分けが課題となりそうだ。

高級品に対する税率は、かつて2018年財政法案の審議で30%となる可能性があったが、当時は採択されなかった。30%まで引き上げた場合、国内の高級品販売への影響が懸念されたことが背景だ。今回の提案でも、高級品に対する税率は明示されていない。

また、モロッコ経団連(CGEM)通運連盟は、軽油へのVAT税率が現行の14%から20%に引き上げられた場合、交通機関などの利用料金も同様に14%から20%に変更されることを提案している。現在既に、国鉄(ONCF)や高速道路公団など一部の公共交通機関の利用料には、20%のVAT税率が課されている。

課税協議会の次回日程などは明らかになっておらず、VATの税率変更の行方には引き続き留意が必要だ。

(本田貴子、和田夏音)

(モロッコ)

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