山東省の大手阿膠生産企業、不正競争を訴え認められる

(中国)

青島発

2019年05月22日

中国国内最大の阿膠(あきょう、注)生産企業である東阿阿膠は、大手電子商取引(EC)サイトのTモールに出店する膠城阿膠を訴えた。訴訟事由は、不正競争防止法の違反だ。杭州余杭法院知的財産権裁判所は訴えを受理し、公開審査を経て、5月8日に原告の東阿阿膠が主張した賠償額200万元(約3,200万円、1元=約16円)全額を認めた。地元メディアなどが大きく報じた。

東阿阿膠の商標である「東阿阿膠」はブランド商標として中国で認定されているほか、山東省科学技術賞と国家品質賞を受賞し、「中華老字号」という称号が与えられている。また、その製造技術は中国の無形文化財として登録されている。

東阿阿膠は、被告の膠城阿膠がTモールで2016年から販売を開始している商品の包装(箱の色、文字のレイアウトなど)は、同社が2010年から使用している包装に酷似していることが不正競争行為に当たり、同社は巨大な経済損失を被っていると主張した。

被告の膠城阿膠は2013年に設立された企業で、東阿阿膠と同じ山東省東阿県に本社を置く。2016年に、東阿阿膠の投資者がTモールで販売されている膠城阿膠の商品が東阿阿膠のものに酷似していることに気づいたことがきっかけで、本件が判明した。「銭江晩報」(5月8日)によれば、東阿阿膠のTモールにおける酷似商品のこれまでの累計売上高は3,445万元に達する。裁判所は、被告が明らかに原告の包装デザインを模倣し、不当に利益を得たと認め、原告の賠償請求を全額認めた。

(注)中国で古くから使われている生薬の一種で、ロバの皮を水で加熱抽出して作られるゼラチンのこと。中国山東省東阿県が主な産地で、名前の由来にもなっている。

(李燕)

(中国)

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