日本からの農水産品輸入に回復の兆し(カナダ)

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2011年10月27日 トロント事務所発

10月13日発表のカナダ統計局貿易統計によれば、日本からの農水産品の輸入額は、7月、8月と前年同月比増を記録した。震災後、カナダ食品検査庁施行の輸入管理強化によって減少していた日本食の輸入に回復の兆しがみえている。

<管理強化解除とともに輸入回復へ>
日本からの農水産品の輸入は、震災後、4月1日に施行された輸入管理強化( 2011年4月4日付記事 参照)に伴って輸入手続きの煩雑化による輸入の遅れや、一部輸入先の日本から他国への切替えなどが起きていた。しかし、10月13日付統計局発表の貿易統計によれば、日本からの農水産品(HS01~22類合計)の輸入額(表参照)は、前年同月比割れが続いた5月(23.1%減)、6月(24.7%減)から一転して、7月は40.6%増の725万カナダドル(以下Cドル)、8月は2.0%増の605万Cドルと2カ月連続の前年同月比増を達成した。これは、農水産品の輸入に関して前述の輸入管理強化策が6月13日に解かれ、通常の輸入要件が適用される状態に戻ったことによるとみられる。10年9月~11年8月の直近1年間の合計額は7,316万Cドルで、5、6月の落ち込みもあり前年同期(09年9月~10年8月)の7,388万Cドルには及ばないものの、過去10年の平均額6,113万Cドルは上回っている。

図:カナダの日本からの農水産品月額輸入額推移(単位:100万Cドル)
カナダの日本からの農水産品月額輸入額推移(単位:100万Cドル)
(出所)カナダ統計局

<長期保存が可能な商品は堅調>
11年7、8月期で輸入が前年同月に比べ増加した品目には、魚介類(HS03類)、砂糖菓子(HS17類)、各種調整食料品(HS21類)や飲料・アルコール(HS22類)が挙げられる。なかでも、03類では乾燥ホタテ、17類ではキャンディ、21類ではダシや味噌、醤油、22類では日本酒の輸入額が大きい。10年にジェトロがトロント地域の日本食品輸入企業を対象に行ったアンケート調査によれば、各企業は、おしなべて保存可能期間の長い商品の取り扱いを希望しており、輸入が増加している品目も比較的長期保存が可能な商品が多い。

<手続きの煩雑さから輸入を手控えていた企業も新たに輸入着手へ>
5月、6月の輸入管理規制は、輸入制限が行われたわけではないものの、カナダ食品検査庁によって放射線検査証明書や商品の流通経路を示す書類の準備が求められ、事業者にとっては輸入手続きに通常の何倍もの費用と時間を要するものであった。それだけに、新規に日本企業との取引を計画していたカナダ企業のなかには輸入を見合わせるケースもみられた。

実際、カナダ全土に販売網をもつアジア系の大手食品輸入企業は、震災直前に日本で行われたジェトロ主催の食品商談会へ赴き、食品の買付を決めていた。しかし、食品輸入要件管理強化に伴って輸入を保留し、輸入管理規制が解かれた6月13日以降も、輸入手続きが明確に分からないことから輸入の保留を継続した。取引契約済みの日本企業やジェトロが同社に対して輸入条件に関する正確な情報提供を行った結果、同社は輸入の着手を決め、現在、クリスマスや2月の旧正月をターゲットにした商品の輸入が始まっている。こうした企業の動きが今後も活発化し、クリスマス商戦に向けこのまま日本からの輸入が順調に回復していくことに期待したい。