長引く日本食品の輸入停止で、進む他国製品への代替 ‐ 工業製品は震災前とほぼ同じ検査状況に(中国)

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2011年9月14日 北京事務所

国家質量監督検査検疫総局(以下、質検総局)は、6月13日付で日本からの食品輸入禁止措置の緩和を発表したものの、9月14日現在、日本食品の輸入は再開されていない。スーパーマーケットなどでは、日本食品から欧米や台湾産食品に代替する動きも出るなど、中国における日本食品のシェア低下を懸念する声も聞かれる。一方の工業製品は、放射線検査を行っていない港もあるなど、通関に問題は見られない。物量もほぼ震災前の水準に戻っている。

<食品輸入、再開の目途立たず>
質検総局が食品輸入禁止措置の緩和を発表して約3カ月が経過したが、日本食品の輸入は再開されていない。現状は質検総局が輸入再開の条件として提示した食品検査証、原産地証明書様式の発表を待っている状況( 2011年6月20日記事 参照)。日本で7月に稲ワラから基準値を超えるセシウムが検出されたこともあり、中国政府としても現在の状況で輸入を再開するのは難しいとの見方もある。

日本食品の輸入停止が長引く中、輸入食品を多数扱うスーパーの経営者は「日本製品はピーク時の3分の1になったが、店の売り上げは落ちていない。欧米や台湾産食品への代替が進んでいる。この状態が続くようなら、日本製品の輸入が再開されても行き場はなくなる」と懸念を示した。

一方で震災直後こそ敬遠された日本食だが、5月以降は震災前の状況に戻っており、代替の利かない地酒などでは一部銘柄で模倣品が増えているとの指摘もある。

日本政府関係者によると、「質検総局に対し様式の提示を強く要求しているが、進展はみられていない。全ての日本食品を一律に輸入禁止している今の措置を一刻も早く見直すよう、引き続き求めていく」としている。

<サプライチェーンの回復で生産が本格化>
一方日本からの工業製品の輸入検査は、港によっては既に放射線検査を行っていないところもあり、検査にかかる時間、手続きなどは震災前と変わらない状況となっている。

北京の日系海運企業は、「特に質検総局が、6月13日付で日本からの食品輸入禁止措置の緩和を発表して以降、地方の検疫局(CIQ)の放射線検査は大きく緩和されたようだ。現在は震災前の状況に戻っている」と述べている。

北京の日系物流企業によると、現在、北京空港、天津港・空港、大連港・空港など、工業製品に関しては放射線検査を実施していないCIQが多いという。天津港を利用している日系企業の中には、震災後一度も放射線検査を受けなかったところもあるようだ。

日本からの工業製品輸入は、震災直後こそCIQの放射線検査体制が整わず、CIQによって対応が異なる状況が発生したものの、4月中旬頃からは総じて大きな混乱もなく通関できている。

日系自動車メーカーの中には、震災によりサプライチェーンが分断されたことで、生産調整を余儀なくされた企業も多い。しかし7月以降、日本の部品メーカーの生産再開が本格化したことを受け、上期の遅れを取り戻そうと、生産を拡大している。日本からの輸入量も増えており、物量も震災前に戻った。日系家電メーカーも同様で、サプライチェーンの回復により中国での生産活動はほぼ正常に戻っている。