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日本からの輸入食品と直行便の乗客・貨物を検査(イラン)

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2011年4月4日 テヘラン事務所発

イラン原子力庁は3月28日、日本からの輸入食品と成田からの直行便の乗客、貨物を放射線検査の対象とすると発表した。ジェトロが4月4日に検査を所管する原子力庁原子力安全システムセンターに確認した結果を報告する。

原子力安全システムセンター長のラストハー氏は、放射線検査を実施する背景として、「福島第1原子力発電所が国際評価尺度のレベル5になり、放射性物質が外部に漏れ出していると認識した。これに基づき、国民、とりわけ被災した福島県の近隣に在住していたイラン人や、テヘラン~成田間の直行便の乗客の不安を鎮めるため、原子力庁として何らかの措置をとることが必要と判断した」と述べた。原子力庁は暫定的な措置として、成田からの直行便の乗客乗員・貨物と輸入される食品に対する検査を実施することにしている。

同氏によると、日本からイランへの食品の輸出はほとんどないと認識しており(注)、問題になっている個別具体的な事案があるわけでもなく、あくまで国民の不安を鎮め安心させるための措置だという。工業製品を含めて輸入を止める国もあるが、イランは食品だけを対象としている。また、放射性物質による汚染などの深刻な事態を懸念している状況ではなく、できる限り冷静に対応するよう心掛けている。

さらに「日本政府が事態をコントロールすることができると信じており、日本在住イラン人から問い合わせを受けた場合には、日本政府の指示に従って冷静に対応するよう助言している。直行便の乗客に対しては、日本での放射線汚染の可能性は低く、水や食料などは日本政府がきちんと管理しており、流通している物は安全だと説明している」と述べた。

同氏の発言内容は以下のとおり。

  1. 航空便の検査について
    航空便は、全乗客・乗員と全荷物を検査している。ただし、直行便だけを対象とし、経由便までは対象としていない。

  2. 輸入食品管理について
    日本からの輸入を禁止・制限するものではなく、食品安全管理のために実施。暫定的な処置で、日本で問題が解消されれば、すぐにでも解除する予定。過去にはチェルノブイリ事故後に、ウクライナからの輸入制限を実施したことはあるが、現時点では日本向けに同様の措置は想定していない。放射線検査基準や手続きはコーデックス、IMOなどの国際基準を使用している。

  3. 数値基準
    食品全種で同一基準とし、1キロ当たりのすべての放射性物質量10ベクレル以下。

  4. 検査対象の貨物
    商業省で輸入許可を必要とする食品。ただし、個人向けの小包などによる食品送付などは対象外。

  5. 輸入食品の検査方法
    通関時に輸入業者がサンプルを原子力庁の所管事務所に送付する。サンプルの検査結果判明までの時間は72時間以内を目安とする。検査費用は数量が少ないため、原子力庁で負担(今後、数量が増加したり期間が長期化したりすれば輸入者負担が想定される)。貨物自体は検査結果を待たずに通関できるが、流通、販売は不可。検査結果が不合格となった品物は輸入者負担で返送される(検疫と同措置)。

(注)ジェトロの貿易統計データベースによると、2010年の日本からイラン向けの食品輸出実績は971万円で、その内訳は次のとおり。
HS0902.20:緑茶:95万円
HS2309.90:犬・猫用以外の飼料用調整品:876万円