放射能漏れ後の日本食品に対する輸入規制に関するコメント発表 ‐ 国家衛生監督庁、現時点で到着貨物に規制は設けず(ブラジル)

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2011年3月23日 サンパウロ・センター発

保健省傘下の国家衛生監督庁(Anvisa)は3月22日、「ブラジルは日本からの食品輸入に規制を設けず」と題したプレス発表(注)を行った。同発表ではまず、日本からの食品輸入は2011年2月に到着した分が直近で、震災前であることから現在ブラジル国内に流通している製品について、放射能汚染の心配はないとしている。さらに、「ブラジルが伝統的に日本から輸入している食品は包装されている状態のものが多く、WHOはこれら製品が放射能汚染を受ける危険はないとしている」として、自国の消費者や取り扱い業者の不安払しょくに努めている。

今回のプレス発表を通じ、Anvisaは「今後、仮に食品等への汚染の懸念が強まったとしても、日本政府が規制を設けて国外への流出を防ぐと理解している」して、国際機関とは異なる独自の基準、判断等で日本からの食品輸入規制を実施する可能性を否定した。その一方、「Anvisaでは、国際機関による日本国内における放射能汚染の状況に関する見解や発表に加え、日本からブラジルへの食品輸入の状況を注視していく」としていることから、日本からの輸入食品のブラジルでの通関時、チェック工程が増えるなどの理由から、通関にかかる所要時間が増える可能性はある。3月23日にジェトロ・サンパウロが当地食品メーカーにヒアリングしたところでは、日本からの輸入食品の全品検査の実施はほぼ確定で(開始時期は未定)、通関時間の大幅増や、それによる賞味期限の短い製品の破棄といった問題が生じるとみられている。

日本からブラジルへの食品輸入額はそもそも少なく、それにより、規制強化に至らなかったとも考えることはできる。開発商工省によると、2010年の日本からの総輸入額は69億8,200万ドルで、このうち食品と定義できる品目の上位(関税番号4桁ベース)は、冷凍のさめ(65万ドル)、麺類(44万ドル)、乾燥した魚(24万ドル)、茶(11万ドル)、香辛料(8万ドル)などで、いずれも少額であることが分かる。

<国民的人気の日本食の品薄を懸念>
東北地方太平洋沖地震の発生以降、ジェトロには、サンパウロ市内の日本からの食品輸入・卸売企業(地場系企業)より複数の問い合わせが入っている。これら企業の懸念は、現段階では放射能汚染ではなく、震災による日本からの輸出停止によるサンパウロでの品不足、在庫切れが大部分だ。現在の在庫と震災直前に日本を出たコンテナー分を考慮すると、日本での生産量の減少や輸出向け製品の減少が長期化した場合、5月以降サンパウロ市内の小売店での品不足が起きる可能性も指摘されている。

サンパウロ市内の東洋人街、リベルダーデ地区にある日本食品店では、日本人駐在員や日系人以外のブラジル人買物客も多くみられ、日本からの輸入品では菓子類、冷凍食品、調味料、インスタント食品、カレールー、日本酒などの人気が高い。

この他、震災後にジェトロにブラジル企業から寄せられた照会の中には、震災を対日ビジネスの機会にしようとするものもみられる。主なものは、a.ミネラル・ウォーターの生産企業による、日本の輸入業者の紹介依頼、b.木材の輸出企業による、日本の輸入業者の紹介依頼、c.発電機の生産企業による、対日投資に関する情報提供依頼、など。

<自動車部品の輸入にも影響はなし>
震災直後、ブラジルにおける自動車部品の輸入停止による、日系アセンブラーの生産への影響を懸念する見方もあがった(2011年3月17日付通商弘報記事参照)。しかし、トヨタ・メルコスールは3月22日付の経済紙「ヴァロール・エコノミコ」上で、「日本では通常、一つの部品について最低異なる二社から供給を受けている。このため、サンパウロ州インダイアトゥーバの工場で生産しているカローラの部品で日本から調達しているものもあるが、震災の影響は受けない」とコメントしている。

(注) Anvisaのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます でプレス発表の内容を確認できる(ポルトガル語のみ)