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日本産および日系企業現地生産品、外国産品の小売での販売動向:アジア食品に新たな時代の到来

ハイパーマーケット「Auchan」にアジア食品棚が登場

2011年2月
分野:食品・農林水産物

モスクワでは、依然日本食ブームが続いている。しかしこの日本食ブームで恩恵を受けているのは、日本の食品メーカーや商社よりもむしろ、日本産と類似した商品を生産・販売している中国、韓国の食品会社やロシアの食品会社、そしてロシアのレストラン経営者などである。また、円高の進行により、ロシアにおける日本産食品の販売は苦戦を強いられている。こうした中で、ロシアのビジネスマンたちは、商品はできるだけ安く仕入れ、売るときはできるだけ高い価格を設定するというシンプルかつ原則的な商売を行っている。

発展段階にありスピーディーな変化を遂げるロシア市場においては、商品の値段がすべてを決めると言っても過言ではなく、「おいしい」、「健康に良い」というお決まりのキャッチフレーズのみで商売をする時代は、すでに終わっているとも考えられる。それでは、ロシアで販売しようとする日本の食品会社は、なぜ競争力のある値段にまで価格を落とせないのか?国内の問題もあるだろうが、最も大きな原因のひとつは、現在のロシアの食品市場では量が捌けないことであろう。

しかし、その問題解決の糸口となる可能性のある変化がモスクワのハイパーマーケットで起こっている。一般のロシア人達の食の窓口とも言えるハイパーマーケット「アシャン(Auchan)」に、アジア食品コーナーが登場したのである。Auchanにおけるアジア食品コーナーの設置は、ロシアへの日本食品の輸出促進にどのような意味を持つのだろうか?以下、この新しい動きについて報告する。

「Auchan」とは?

Auchanはフランスの大手ハイパーマーケットである。同社ウェブサイトによると、2002年8月28日にモスクワ州のMitishi市にロシア第1号となるハイパーマーケットをオープンした。当初は税金の安いモスクワ州を拠点に、モスクワ市との境界に当たる「モスクワ自動車環状道路(通称:MKAD)」に沿って店舗数を増やしていった。

次のターニングポイントは2007年で、この年の12月に同社は当時ロシアで大手のトルコ系ハイパーマーケットチェーン「Ramstor」と譲渡契約を締結した。Ramstorからハイパーマーケット1店舗を買い取り、残りの10店舗は長期賃貸契約を締結することにより、モスクワ市内での店舗数の拡張を図り、2008年にはモスクワの市内の店舗およびRamstorから引き継いで改装した店舗をAuchan Citiと名称変更し、更なる拡張を図っている。また2009年からはAuchan Sadという野菜の種、観葉植物、デコレーション、工具、ペット・家畜の餌などのダーチャ(※ロシア風コテージ)向け販売に特化した商品を取り扱うチェーンも展開している。

現在、モスクワ、モスクワ州、サンクトペテルブルク、エカテリンブルク、オムスク、ペンザ、クラスノダール、ロストフ・ナ・ドヌなどの地方都市にAuchanを28店舗(モスクワ市・州で14店舗)、Auchan Citiを14店舗(モスクワ市・州で10店舗)、そしてAuchan Sadを3店舗(モスクワ市・州で2店舗)展開している。

連日顧客で賑わうAuchan

「Auchan Citi」のレジ近辺

Auchanは今や、大衆向けのハイパーマーケットチェーンとしてロシア国民に幅広く認知されている。ロシアの購買者は1週間分の食料品を買いだめしているものと思われるが、週末になると大きな滑車付きカートに目一杯の食料品や飲料水などを入れてレジに並んでいる。店舗によってはレジが100台あるところもあるが、常に長蛇の列が出来ることでも有名である。これまでモスクワにはこういった食料品のハイパーマーケットがなかったため、Auchanが登場した時には、多くのモスクワっ子達は「なぜこんなに動かしにくい大きなカートを用意したのだろう?」と疑問に思った。狭い通路で大きなカートを動かす光景がオープン当初はよく見られた。今でもこういう光景は見られるが、Auchanの狙いどおりにカートの中は商品で一杯になっている。

Auchanの商品は大衆向けと言われるだけあって、商品の単価は高くない。カートに目一杯の食品を積み上げても、筆者が観察した限りでは、顧客が支払う金額は1人約3,000~4,000ルーブル(約9,000~1万2,000円)ほどである。牛乳やチーズなどの乳製品、食肉、野菜、パンなど生活に欠かせない食品が、手頃な値段で販売されている。

気になる売上高だが、経済紙「Vedmosti」によると、Auchanグループの月間売上高は約150億~200億ルーブル(約450億~600億円)で、2010年の年間売上高は1,800億~2,400億ルーブル(約5,400億~7,200億円)となっている。

遂に登場、アジア食品コーナー

現在「Azubuka Vkusa」、「Globus Gurme」といった高級食品チェーンには、日本食品の専用棚が設置されている。一方、中間層向けの「Perekrestok」や「Sedimoi Kontinent」などには、アジア食品コーナーが登場して久しい。これらの店には韓国・中国産を中心とした日本品と類似の商品が陳列されている。

そして2010年末になって、Auchanに遂にアジア食品コーナーが登場した。日本食ブームが引き金となって、いつかはAuchanにもアジア食品コーナーが設けられる時が来るとは思われていたが、予想よりも早い展開であった。これがロシアビジネスのスピード感である。

モスクワ南部のAuchan Citiには日本食品は置いていなかったが、他のAuchanの数店にはヤマタカ味噌、日本酒の大関が売られていた。世界企業Kikkomanのしょうゆを除けば、現段階では数少ないAuchanの日本食品である。

Auchan Citiのアジア食品コーナー

アジア食品コーナーの主な商品

Auchan Citiに販売されていた主なアジア食品5品(写真上)の詳細は次のとおりであった;

  • 「Wasabi / Sen Soy」(中国産)、価格78.91ルーブル(約237円)(1本 / 43g)
  • 「Sushi Rice /Sen Soy」(ベトナム産)、価格62.34ルーブル(約187円)(1袋 / 250g)
  • 「Kikkoman Teriyaki」(オランダ産)、価格167.05ルーブル(約501円)(1本 / 250ml)
  • 「Sushi Nori」(韓国産)、価格80.34ルーブル(約241円)(1袋 / 5枚入 / 22g)
  • 「Funchoza(春雨)/ Sen Soy」(中国産)、価格77.16ルーブル(約231円)(1袋・200g)
  • インポーターは、中国産品(Sen Soyブランド)は主にSostra-rus社、韓国産はTri-S food社であった。

まとめ

値段の高い日本食品を購入できるロシアの購買者の数は少ない。このため、日本の中小の食品会社はAzubuka VkusaやGrobus Gurmeなどの高級スーパーチェーンをターゲットにするのみで、中間層をターゲットにした上記のスーパーマーケットや、Auchan、Metroなどのハイパーマーケットにはまったく照準を合わせていなかった。

こうした中で、大衆向けと位置づけられているAuchanにアジア食品コーナーが登場した意味は非常に大きい。そして、このことは今後のロシアにおける日本食の普及に、大変大きな意味を持つことになるものと思われる。

日本食品の値段が高いのは、地理的な問題もあるが、量を捌けないことも大きな要因の1つとなっている。ロシア進出を願う日本の食品会社の多くが、店舗数が限られ、顧客層も薄い高級店に依存するか、または依存しようとしている現状が、逆に足かせにもなっている状況は上述したとおりであるが、富裕層から低所得者層までの顧客層を網羅し、多くの店舗数を展開するAuchanに卸すことが出来れば、問題解決に向けての展望が開けることになろう。

2011年2月初旬にモスクワで開催された国際食品展示会「Prodexpo 2011」で、Azubuka Vkusaなどの高級食品スーパーや、Yakitoriyaの日本食ショップに日本食品を供給している輸入業者の輸入担当者と話をする機会を得た。同担当者によると、同社は現在Auchanへの日本食品の販売を交渉中だという。Auchanの納入条件や買取価格はなかなか厳しいそうだが、今後のビジネス展開を考えると、避けては通れないという。

もしAuchanへの納入が実現すれば、高級スーパーでしか買えなかった日本食品が、中間層向けのスーパーを一気に通り越して、大衆向けのハイパーマーケットで買える時代が到来することになる。そうなれば中間層をターゲットにするロシア最大手の小売業者で、Auchanと売上高を競っている「X5 Retail Group」が動き出すことも十分に予想される(同グループは現在、日本食品をほとんど取り扱っていない)。またMetroやNash(Sedimoi Kontinentなどが経営)などその他のハイパーマーケットが追随する可能性も十分にある。

大衆向けのハイパーマーケットにアジア食品コーナーが登場したことで、これまで以上に、アジア食品、ひいては日本食品に一般のロシア人の注目度が高まってくることが予想される。

こうした状況から推して、今後ますます多くのロシア人消費者が、アジア食品を目にすることが期待される。当面は、とりあえず日本産と類似した中国・韓国産の食品に牽引してもらう形になるが、今後は日本の中小の食品会社も食品納入交渉のテーブルに着きやすくなり、ハイパーマーケットに本物の日本食品の棚が登場する日もそう遠くはないかもしれない。

(モスクワ・センター)

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