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市場・トレンド情報

報道等にみられる食に関するトレンド:ロシアにおける魚介類の消費

ロシア人にとっての魚料理とは?

2011年1月
分野:食品・農林水産物

海は、大多数のロシア人にとって憧れの的である。特にモスクワやロシア欧州部の人々の海への憧れは強く、休暇シーズンになると多くの人々がエジプトやギリシャ、トルコ、そしてタイなど美しい海岸のある国々へ旅行に出かける。こうした海への憧れに健康志向が加わり、海産物の宝庫である日本食ブームがロシアに到来して、既に10年以上が経過している。しかし日本食レストランで多用されるすしネタ、刺身および海産物以外に、ロシアの人達は通常どのような魚介類を食べているのだろうか。以下に現状を報告する。

ロシア人の魚介類の消費量

2009年4月にマーケティング情報サイト「sostav.ru」で報じられた情報によれば、2007年時点でモスクワ地区では年間1,170万トンの食料品が消費されており、そのうちの約10%が食肉類で、果実・野菜類が約4%であった。魚介類はわずか2%の約23万4,000トンに過ぎない。ロシア全土では国民1人当たり年間13.9キロの魚介類を消費しているが、地域別に見ると、モスクワでは消費量が21.1キロとなり、全体の平均値を大きく上回っている。ちなみに最も消費量が多い地域は、やはり海に面している極東連邦管区で23.8キロとなっている。一方、最も魚介類を食べない地域が、沿ボルガ連邦行政管区でわずか10.5キロであった。いずれにせよ、肉類と比較するとロシア人の魚介類の消費量は2分の1程度とまだまだ少なく、潜在的にはこれからますます伸びる部門であることは間違いない。

ロシア人になじみの魚は?

Global Trans Avia社の2010年3月20日付ニュースによれば、卸売における販売量の多い魚の種類別ランキングは、1位がニシンで全体の27%、2位がスケトウダラで同26%、3位がサバで同18%、4位がマス(サケ)で10%、その他が合わせて19%となっている。

ロシア人は鮮魚を好むが、スーパーで販売されている鮮魚のほぼすべてがコイ、チョウザメ、マスのいずれかである。スーパーの店頭に並ぶ魚介食品は、冷凍切り身や半加工品、加工品、缶詰などさまざまである。また同サイトによれば、一般消費者に人気の高い魚は、1位がニシンで全体の25%、2位がスケトウダラで同15%、3位がタラで同10%、4位がカラフトマスで同6%、7位がプタスダラ(Micromesistius)で同7%、8位がヘイク/メルルーサで同5%、9位がオオカミウオで同4%、そして10位がサケ・マスで同3%となっている。

これら魚介類の人気の理由だが、例えばタラは大量に捕獲できることもあり、安いことがこの人気を支えているものとみられる。ちなみに、モスクワでのタラの平均卸売価格は、2009年2月の時点で1キロ当たり90ルーブル(約270円)であったが、水産物の情報サイト「Fishretail.ru」のデータによれば、2010年12月の時点で93.2ルーブル(約280円)と約3%値上がりしている。水産物の卸売価格は2010年に、全体的に値上がりしたが、その中でこのタラの値上がりが一番大きかった。次に値上げ率が大きかったのがセース(西洋ダラの一種)で約2%増のキロ当たり78.1ルーブル(約235円)、そして約1%値上がりしたのがカラフトマスの100.8ルーブル(約300円)、カワスズキの146.7ルーブル(約440円)、ニシンの40.8ルーブル(約122円)となっている。カワスズキは、日本で言うところのクロダイ(チヌ)のような黒いタイを彷彿させる魚で、中間所得層や高所得者層向けのスーパーでは氷が詰まった棚で冷蔵ものとして販売されている。

表:ロシアの漁獲量(2010年1~11月期)(単位:トン)
魚種 2009年 2010年 前年比(%)
スケトウダラ 1,196,900 1,487,100 24
タラ 275,200 322,900 17
カラフトマス 395,400 174,500 -56
ニシン 128,400 141,800 10
イカ 63,200 64,300 2
カワスズキ 1,300 2,800 112
セース 700 1,200 73

出所: “Треска - лидер по росту цен”外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます (Fishretail.ru)

ロシアでは、スケトウダラの漁獲量が最も多く、2010年には漁獲量が大幅に増加したことから、卸売価格は前年比0.4%上昇の1キロ当たり51.2ルーブルと最も小幅な値上がりにとどまった。ちなみに、スケトウダラはロシア語で「Mintay」(ミンタイと発音)と呼ばれ、日本語の「明太」の語源とも言われる。またイカの卸売価格は同96.8ルーブルと前年比で1%の値上がりとなっている。

一般的な料理の仕方

タラは、一般的にロシアの代表的なスープであるウハー(魚スープ)で使用される。その他にも包み焼きにしたり、クリーム煮にしたり、あるいはそのまま白身魚としてフライにしトマトソースやキノコソースをあえて食したり、サラダ(前菜)として肉をすり身にして卵や玉ねぎ、キノコなどと組み合わせて食したりと、その料理のバリエーションの広さが人気に繋がっている。またスケトウダラも用途はほぼ同じである。

サケ・マスは、前菜として薄切りのマリネにしたり、ステーキ風に焼いたもの、直火焼きで焼いたものがロシアでは有名だが、現在では大衆向け日本食レストランの人気メニューであるフィラデルフィア・ロールのイメージが強く、またその他のすしロールメニューで多用されているため、生で食されるケースが多くなっている。サケ・マスは他のすしで使われるネタよりも安く、また初めて入る日本食レストランではロシアに溶け込んでいるネタの「サケ・マス」の方が安全面(衛生面)から見ても無難であるため、人気が高い。ちなみにロシアでは現地産のサケ・マスは稀で、一般的にはノルウェーからの輸入に頼っている。この輸入物のサケ・マスはマリネや塩漬けにされパックでも販売されており、その人気は高い。

ニシンは、ロシア料理には欠かせない存在である。前菜に必ずと言って良いほど出てくるのがニシンのマリネ、ニシンの酢漬けである。マリネにした玉ねぎの輪切りと一緒に出てくるが、肉・野菜料理が中心のロシア料理の中で、唯一刺身にも似た外観、食感を与えてくれる料理なので、日本人にも馴染みやすい。ビールやウオッカの肴としては最適である。またロシア料理の中で有名なのが、ニシンを使ったセリョートカ・パド・シューボイである。日本語に訳すと「毛皮を纏ったニシン」を意味するこの料理は、その言葉どおり、真っ赤なビーツと玉ねぎ、マヨネーズでニシンを覆った料理で、正月や祝日のパーティーなどでは必ずお目にかかる料理である。

漁獲量で第5位のイカの場合、ロシア人は生では食べない。2000年代からロシア原産のスルメ、さきイカが販売されるようになり、スルメ、さきイカは現在ではどのカテゴリーのスーパーでも見かけるほどポピュラーになっている。ニシンのマリネと並んで、ウオッカやビールの肴として人気が高い。

上記の料理以外にも、燻製にした魚が一般のスーパーでも販売されている(特にサバ、ヒラメが多い)。また夏になると日干しや燻製にしたローチ(Roach・コイ科の一種)が登場する。ローチは非常に塩辛いが、ビール好きのロシア人の肴として根強い人気を誇っている。ちなみにこの魚は淡水魚で、成魚の外観はフナに似ている。

またその他の魚介類では、冷凍したイガイやエビのほか、イカやイガイなどの切り身をミックスした冷凍食品も販売されている。

まとめ

以上のようにロシアでは現地に根付いた魚料理はあるものの、使用される魚の種類は日本と比べて非常に少ない。しかもそれらの料理の調理方法はソ連時代からさほど変化していない。

日本食のブームにより、すし・刺身と生で魚を食べる機会も増えてきているが、それ以外の日本食は、まだまだ浸透しているとは言えない。モスクワやサンクトペテルブルクの日本食市場は飽和状態に近付きつつあるといわれているが、前述のように肉類の消費量に比べれば、魚介類の消費量はまだその半分にすぎず、市場拡大の余地は大きいと考えられる。今後、日本の水産品がこの将来性のある市場の突破口を開くためには、日本のさまざまな魚の調理法をPRすることに加え、例えば甘露煮、味噌煮などをロシア人の口に合うように調整するといった工夫が必要となろう。

(モスクワ・センター)

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