米国におけるクラウドファンディングの現状(2018年12月)

2018年12月31日

最終更新日:

「クラウドファンディング」(Crowdfunding)とは、新規事業等のために、不特定多数の人々から必要な資金を調達することである。資金を調達したい者は、クラウドファンディング・プラットフォームで、資金調達の募集(キャンペーン)を行い、資金提供者を募る。クラウドファンディングには主に購入(Reward)型、寄付(Donation)型、 投資(Equity)型、貸与(Lending、あるいはDebt)型のような4つのタイプがあると言われており、プラットフォームとして、Kickstarter(購入型)、 Indiegogo(購入型)、GoFundMe(寄付型)が、規模が大きいものとして知られている。

クラウドファンディングは、資金力に乏しい個人、中小企業、自治体等だけでなく、大企業においてもマーケティングの手段としての例が見られる。大企業の消費者製品立上げには大きなリスクが生じることもあるため、クラウドファンディングによりアーリー・アダプター にアクセスし、検証できる。クラウドファンディングの課題として、嘘の美談による詐欺や資金調達後に想定されたプロジェクトが実現する率が低い(Kickstarterで36%、Indiegogoでは9%という説あり)といったことが挙げられるが、特に後者については、各プラットフォームが他の企業と連携して資金調達者への支援等を行っており、クラウドファンディング・プラットフォームは、イノベーションを大企業の独占から開放し「民主化」する新たなイノベーション・モデルにつながる可能性があると考えられる。現在、日本でも数多くのクラウドファンディング・プラットフォームが存在し(米国でも多数あるが、主要なプレーヤーはKickstarterIndiegogoGoFundMeの3者になっている)、2017年9月には、Kickstarter社は日本向けサービスを開始したなど、まだまだ試行錯誤の段階にあるが、今後、クラウドファンディングが、個人等が夢や目的を実現する手段として、または企業等が国内外の市場を獲得する手段として検討、活用されることを期待したい。

シリーズ名:
ニューヨークだより
発行年月:
2018年12月
作成部署:
ジェトロ・ニューヨーク事務所
総ページ数:
17ページ

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