モンゴルの輸出入通関制度の概要
質問 モンゴルにおける輸出入通関制度について教えてください。
回答
モンゴルの輸出入制度については、関税法(Customs Law of Mongolia)が定めています。また、モンゴルは内陸国であるため、陸上輸送で輸出入を行うには、中国またはロシアを経由しなければなりません。経由国の法律や輸送能力によって、輸送状況および輸送コストが変動するため、事前の確認が必要です。なお、モンゴルの輸入関税は一律5%です。
I. 輸出入における企業ライセンス
モンゴルにおいて輸出入業務を行う場合、輸出入者は、関税当局および国家登録局(Mongolia General Authority for State Registration)へ登録する必要があります。
II. 輸入規制品目
- 麻薬、それらの使用および生産機器、麻薬植物(原料も含む)
- 毒性のある化学品
- 動物の生皮、皮革、原毛
- アルコール飲料(例外として、焼酎、ウォッカ、ブランデー、ウイスキー、ジン、リキュールは輸入することができます。)
など
III. 輸出入においてライセンス発行が必要な品目および所轄機関
モンゴル税関が「越境の際ライセンスが必要な品目リスト」を公開しています。輸出入の際にライセンスが必要な品目、およびライセンス発行機関は下記のとおりです。
- 輸出の際にライセンスが必要な品目および担当機関
- 牛、馬、羊、豚、山羊、ラクダおよびその製品:工業・農牧業省(Ministry of Industry and Agriculture)
- 絶滅危惧動物26種類:工業・農牧業省および環境グリーン開発観光省(Ministry of Environment, Green Development and Tourism)
- ウラニウムおよびその濃縮物:特別調査局(State Specialized Inspection Administration)
- 極めて危険度の高い化学物質:環境グリーン開発観光省
- 人体の一部または臓器、献血血液、医療ワクチン:保健省(Ministry of Health)
- 爆発物:経済開発省(Ministry of Economic Development)
- 武器:経済開発省(Ministry of Economic Development)
- 文化工芸品(定期的な輸出):教育科学省(Ministry of Education and Science)
- 輸入の際にライセンスが必要な品目および担当機関
- 極めて危険度の高い化学物質:環境グリーン開発省
- 人体の一部または臓器、献血血液、医療ワクチン:保健省(Ministry of Health)
- 爆発物:経済開発省(Ministry of Economic Development)
- 武器:経済開発省
IV. 輸出入における手続き
関税法に基づき、下記の書類を税関に提出します。「越境の際ライセンスが必要な品目リスト」で指定された品目については、書類に加えライセンスの提示が必要です。
書類はモンゴル語あるいは英語での作成が義務づけられています。
※必要書類の過不足については、通関業者へご確認ください。
- 税関申告書類(CDF:Customs declaration form)
- 売買契約書
- 原産地証明書
- 船積書類
- Combined Bill of lading
- Commercial Invoice
- Packing List
- Pre-Shipment Inspection Certificate(契約条件次第)
- Insurance Certificate
- MASM(Mongolian Agency for Standarization and Metrology)
Comformity Cetrificate (契約条件次第) - その他(契約条件次第)
V. 日本との経済連携協定(EPA)
日本とモンゴル二国間の経済関係強化を深めるために、日モンゴル経済提携協定(EPA)が2016年6月に発効しました。この協定では貿易拡大のための投資環境改善も重要な目標となっており、貿易に関しては協定発効後10年間で往復貿易額の約96%の関税の撤廃を目指すとされています。
- 日本からモンゴルへの輸出
協定発効後、10年間で約96%まで無税輸出が拡大されます。- 鉱工業品
- 自動車および自動車部品:主力の4500CC以下の完成車(製造後0~3年)は即時関税撤廃、自動車部品及びその他の完成車はほとんどが関税撤廃。
- 一般機械:主力の建設用機械(ブルドーザー等)の即時関税撤廃を含む10年以内の段階的関税撤廃(総輸出の20%弱)。
- 農林水産品
- 切り花、果実、味噌、醤油等:即時撤廃または段階的関税撤廃。
- 清酒および焼酎:即時関税撤廃。
- 鉱工業品
- モンゴルから日本への輸出
協定発効後10年間で関税100%撤廃が目標とされています。- 鉱工業品
ほぼすべての品目について即時関税撤廃または10年以内に関税撤廃。 - 農林水産品
- 一部の牛肉調整品等:関税割当
- ペットフード:即時または10年間で関税撤廃
- モンゴル特産の乳飲料、麺類、果実酒:品目証明書を付したうえで関税撤廃または関税割当。
- 鉱工業品
EPA特恵関税を利用するためには協定で定めた原産地規則を満たし、それを証明する原産地証明書が必要です。原産地証明書の発給機関はモンゴル側はモンゴル商工会議所、日本側は日本商工会議所です。
なお、第三国を経由して締約国に輸入する場合には、輸入申告に際して積送基準を満たしていることを示す書類(運送要件証明書)の提出が必要です。
EPAによる関税率は、ジェトロ「世界各国の関税率」でご確認ください。
関係機関
- モンゴル税関(Mongolian Customs)
- 駐日モンゴル国大使館
- 国家登録局(The Government Agency of Mongolia General Authority for State Registration)
- モンゴル国政府機関(Government of Mongolia)
- モンゴル電子開発通信省(Ministry of Digital Development and Communications)
- モンゴル貿易開発銀行東京駐在員事務所
- モンゴル日本商工会
関係法令
- 関税法(2008年版)(Customs law of Mongolia)(723KB)
- Customs tariffs and rules of origin(980KB)
- 日・モンゴル経済連携協定(EPA)
- モンゴル投資法(非公式訳)(457KB)
参考資料・情報
- 税関:
- 日モンゴル経済連携協定の概要(1.0MB)
- ジェトロ:
- 世界各国の関税率
調査時点:2017年3月
最終更新:2022年9月
記事番号: N-170301
ご質問・お問い合わせ
記載内容に関するお問い合わせ
貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。