食器の現地輸入規則および留意点:オーストラリア向け輸出

質問

オーストラリアへ食器類を輸出する際に現地での輸入規制及び輸出者として留意すべき事項を教えてください。

回答

食器類の輸入については、一部の陶磁器を除き、特に規制はありません。竹製品等は、検疫(バイオセキュリティ)の対象となる場合があります。

オーストラリア・ニュージーランド食品基準(Food Standards Australia New Zealand: FSANZ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で食品の基準を定めていますが、食品容器に関してはFSANZ 3.2.2 Food Safety Practices and General Requirementsの規定で「食品に適した容器を使用する」、「食品に汚染をしないものを使用する」など、一般的な事項が定められているだけで、欧米のような食品接触材(Food Contact Materials)に関する規定はありません。

1.重金属規制

1956年税関(輸入禁止)規則により釉薬セラミック(glazed ceramics、釉薬でコーティングされた陶器)は、水銀及びカドミウムの規制があります。食品の保管または消費に関連して使用される陶磁器のうち、特定の釉薬をかけた陶磁器は、釉薬に含まれる鉛やカドミウムの量が許容レベル以内に収まっていなければ輸入できません。これらを輸入する場合は、豪州政府によって指定された試験方法によって鉛、カドミウムの含有量が基準値以下であることの証明が必要です。対象となる製品は、食器として使用されるもののみで、展示・観賞用として用いられるものは証明書添付の対象ではありません。

種別 詳細 含有量の制限値
カドミウム
1 容量が1100㎖以下の器(カップ、マグ、ジョッキ、広口瓶、ボウル、ティーポット、コーヒーポットなど) 7.0mg/ℓ 0.7mg/ℓ
2 容量が1100㎖以上の器(カップ、マグ、ジョッキ、広口瓶、ボウル、ティーポット、コーヒーポットなど) 2.0mg/ℓ 0.2mg/ℓ
3 皿全般(スープ皿、デザート皿、ソーサーなども含む)または同様の食器 20.0mg/ℓ 2.0mg/ℓ
4 調理器具全般(形状問わず) 7.0mg/ℓ 0.7mg/ℓ

2.検疫

木製・竹製の箸や器など、未加工の植物由来の材料が使用されている場合は、検疫(バイオセキュリティ)の対象です。検疫対象かどうか、検疫対象の場合の必要書類(衛生証明書等)等は、オーストラリア農業省のバイオセキュリティ輸入条件データベース(Biosecurity Import Conditions: BICON外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、商品の詳細、輸送方法等を入力して確認することができます。
なお、9月から5月はクサギカメムシの活動シーズンとして検疫が強化されています。毎年8月末に9月からの季節措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが発表されます。

3.関税

オーストラリアの関税率は、多くの産品で5%、一部は0%です。品目(HSコード)ごとの関税率は、オーストラリアの関税率表(Current Tariff Classification, Schedule 3外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまたは、ジェトロの世界各国の関税率で調べることができます。輸入の際には、関税の他にGoods and Services Tax(GST)が10%課税されます。
日本とオーストラリアは、日豪EPA、TPP11(CPTPP)及びRCEPの3つの経済連携協定(EPA)を締結しています。協定の原産地規則を満たす日本原産品をオーストラリアへ直送する場合、協定で定めた原産地証明書を輸入国税関に提示することで特恵関税(0%)での輸入を要求することができます。

4.プラスチック容器

オーストラリアは、連邦制のため州によって規則が異なりますが、連邦政府は、2021年3月4日に「国家プラスチック計画」を発表しました。ストローやフォーク、スプーンなどのカトラリー、ボウルや皿、飲料を攪拌(かくはん)するマドラーなどの使い捨てプラスチック類は、2025年までに各州で段階的に使用が禁止されます。

関係法令

参考資料・情報

調査時点:2024年03月
最終更新:2024年03月

記事番号: J-240301

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