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加工食品の現地輸入規則および留意点 :メキシコ向け輸出

質問

メキシコ向けに加工食品を輸出する際の現地輸入規制と留意点について教えてください。

回答

メキシコで食品を製造、販売、輸出入する者は、保健法(Ley General de Salud)の規定に基づき、保健省の規制を受けます。メキシコへの輸入については保健法286条に基づき、衛生リスクに応じて輸入事前許可が必要な品目を保健省が省令で定めています。特定の食品については、強制規格であるメキシコ公式規格(NOM)の対象となりますが、輸入時にNOMを満たしていることを証明する必要があるのは、商品情報の表示規格のみとなっています。なお、食品のうち、動植物検疫の対象となるものについては、農牧省(SAGARPA)農業食品衛生無害品質庁(SENASICA)の検疫証明書が必要ですが、加工食品で動植物検疫の対象となる品目は多くありません。

I. 輸入規制の対象品目

保健省の輸入規制の対象となる品目については、2012年10月16日付官報で公布され、その後2015年9月1日、2016年2月5日、2018年1月10日に一部改正された「輸出入に際して保健省の衛生規制の対象となる商品・製品の分類とコードを定める経済省・保険省令」がHSコードと品名をリスト化しています。

同省令の第1条Aは、輸入衛生事前許可(Permiso Sanitario Previo de Importación)の対象となる食品をリスト化しています。 輸入衛生事前許可は、保健省傘下の政府機関である連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)が発行します。同許可の対象となる品目は、大きく分けると以下のとおりです。ただし、下記分類に当てはまる食品でも許可が必要ない品目もあります。

  1. 水産品(一部の海藻を含む)
  2. 乳製品
  3. 植物性の液汁・エキス等
  4. 肉汁・エキス等
  5. 水産加工品
  6. 乳糖
  7. 乳幼児用調整品
  8. 野菜・果実加工品
  9. 調整食料品(肉のエキスを含むもの、乳製品を含むもの、サプリメントなど条件が特定されている)
  10. ノンアルコール飲料(カフェインを添加したもの)
  11. 塩、カフェイン、カゼイン、ゼラチン、プロテインなどの食品原料

なお、具体的にどの品目が対象となるかは、経済省の貿易情報統合システム(SIICEX)のウェブサイト 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから直近までの改正内容を含んだ省令(‟Texto Integrado“)をダウンロードできます。

特定の食品・飲料についてはメキシコ公式規格(NOM)の対象となり、生産や流通時に該当するNOMを満たしていることが求められます。食品・飲料に関するNOMは以下のとおりです。

NOM-040-SSA1-1993: ヨウ素添加塩
NOM-051-SCFI/SSA1-2010: 食品・ノンアルコール飲料の表示規格
NOM-086-SSA1-1994成分調整食品・飲料
NOM-128-SSA1-2008水産品の加工工場における衛生管理基準
NOM-130-SSA1-1995密封容器入り熱処理低酸性食品
NOM-131-SSA1-1995乳幼児用食品
NOM-159-SSA1-1996卵・同製品
NOM-186-SSA1/SCFI-2013カカオ・チョコレート・カカオ調整品
NOM-187-SSA1/SCFI-2002トウモロコシ粉・トルティージャ等
NOM-213-SSA1-2002食肉加工品
NOM-218-SSA1-2011清涼飲料水
NOM-242-SSA1-2009水産品
NOM-243-SSA1-2010牛乳・粉ミルク・乳製品
NOM-247-SSA1-2009穀物・同製品
NOM-251-SSA1-2009食品・飲料の適正製造規範(GMP)
上記のうち、輸入時にNOMへの適合証明書の提示が求められるのは、表示規格であるNOM-051-SCFI/SSA1とカカオ・チョコレートの規格であるNOM-186- SSA1 /SCFIの商品表示義務(9.2)のみです。

II. 輸入衛生事前許可の取得手続き

  1. 手続きの流れ
    輸入業者登録(Padrón de Importadores)を持つ輸入業者がCOFEPRISの統合サービスセンター(CIS)あるいは各州の衛生担当窓口において書面で申請を行うか、あるいは貿易手続き単一電子窓口(VUCE) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じてオンラインで申請を行います。VUCEを活用するためには、輸入業者およびその法的代表者が電子署名(FIEL)を取得し、VUCEの利用者登録をしておく必要があります。

    書面あるいはオンラインで申請を開始する前に連邦行政手数料を支払い、その受領書を保存しておく必要があります(受領書のコピーを申請時に書面で提出、あるいはVUCEにアップロードする必要があるため)。 連邦行政手数料の金額は、2018年1月時点で4,824ペソ(約2万8,300円)です。

    申請(必要書類に不備がないと仮定)から承認までの法定所要期間は原則5営業日、生鮮品については24時間です。所要期間が経過してもCOFEPRISから回答がない場合、申請は却下されたものと見做されます。

  2. 必要書類

    輸入衛生事前許可を申請するためには、以下の書類が必要となります。

    1. 原産国の衛生当局が発行する衛生証明書(Certificado Sanitario)、衛生確認書(Constancia Sanitaria)、自由販売証明書(Certificado de Libre Venta)のいずれか(オリジナル1部、コピー1部)
    2. 上記で「自由販売証明書」を提出する場合、以下の書類が追加で必要
      1. 成分(物理化学的構成)分析表
      2. 微生物学的分析結果
      3. 特定検査結果(必要に応じて、重金属、コレラ菌、過酸化物価、放射線)
    3. 原産国の商品表示ラベル
    4. メキシコで販売する際の商品表示ラベル(スペイン語)

      日本からの輸出の場合、上記aのうち「衛生証明書」と「衛生確認書」に相当する証明書を日本の政府機関がメキシコ向けに発行していないため、原則として厚生労働省の地方厚生局が発行する「自由販売証明書」を利用し、成分分析表や微生物学的分析結果を添付することになります。なお、在米商社などを経由する場合、「衛生確認書」に相当すると考えられる米国海洋大気庁(NOAA)発行の輸出衛生許可証(Export Health Certificate)をaの書類として使用することが可能ですが、「衛生確認書」の記載事項として必要な成分分析表や微生物学的分析結果がNOAAの発行文書には記載されていないため、COFEPRISの担当官によっては、NOAAの文書に加えて自社手配した成分分析表や微生物学的分析結果の提出を求められることがあります。

      なお、VUCEを通じて電子申請する場合は、上記必要書類をPDFファイルに変換し、ウェブサイトにアップロードする必要があります。

III. 表示規格

  1. 一般食品
    NOM-051-SFCI/SSA1に基づき、スペイン語で以下の事項を表示することが義務付けられています。
    1. 食品名
    2. 原材料名(リスト)
    3. 内容量(必要に応じて固形量)
    4. 製品についての責任者(製造者・販売者)の名称(個人・法人)と住所
    5. 原産国
    6. ロットの番号・記号
    7. 消費期限あるいは賞味期限
    8. 栄養成分表示
      1. エネルギー
      2. たんぱく質
      3. 炭水化物(うち糖分)
      4. 脂肪(うち飽和脂肪酸)
      5. 繊維質
      6. ナトリウム
      7. その他商品の特性に影響する栄養成分
      8. その他特定の法規が定める重要な栄養成分
    9. 特定の栄養成分(脂肪酸、糖分、ナトリウム、エネルギー等)に関する図解

      なお、上記以外にも栄養成分を追加で表示することは可能です。また、偽りのない情報であれば、その他の情報や写真・図などを食品包装に表示することも可能です。

  2. 成分調整食品及びカカオ関連製品

    減塩食品やナトリウムを減らした食品、脂肪分を減らした食品、コレステロールを減らした食品、カロリーを減らした食品、グルテンフリー食品、糖分を減らした食品などの成分調整食品については、一般の食品で求められる表示義務に加え、NOM-086-SSA1に基づく商品分類などの表記ルールや含有成分についての特別な表示ルールが存在します。

    また、チョコレートなどのカカオ関連製品については、NOM-186-SSA1/SCFIに基づく商品名の分類表記のための特別なルールがあります。例えば、ビター(ダーク)チョコレートと表示するためには、カカオバターの構成比が18%以上、完全に脱脂したカカオの構成比が18%以上でかつカカオ固形分が40%以上でなければなりません。

    NOM-051-SCFI/SSA1やNOM-186/SSA1/SCFIなどの表示規格については、原則として輸入時に満たしている必要がありますが、輸入者は以下の選択肢をとることができます。

    1. 対象NOMに適合した情報表示(商品ラベル等)を付けた商品を税関当局に提示し、通関の際に税関吏の確認を受ける
    2. 指定検証機関(Unidad de Verificación)に予め商品ラベルや包装のサンプルを送付し、同機関に「適合証書」を作成してもらい、同証書を輸入申告書に添付する
    3. 指定検証機関でもある総合保税倉庫業者で商品ラベルを添付することを宣誓し、同保税倉庫でラベルを添付する
    4. 輸入通関後に国内の特定の住所において商品ラベルを添付し、指定検証機関の検査を受けることを宣誓したうえで通関する

      上記d. の選択肢を採用すれば、輸入通関後に輸入者の自社倉庫で商品ラベルを添付することも可能になりますが、輸入者が以下の条件を満たさないと実施できません。

      1. 輸入業者登録を取得して2年以上の実績がある
      2. 直近の12ヵ月間に10万ドル以上の輸入額がある
      3. 輸入通関後15日(暦日)以内に商品ラベルを添付する(ラベルを添付する商品が1万点以上に及ぶ場合は40日以内となる)
      4. 事前に大蔵公債省が定めた輸入申告コードで申告する
      5. 輸入者の宣誓文書、輸入者と指定検証機関が締結した検査契約書コピー、指定検証機関が発行する検査申請書(オリジナル)の3文書を輸入申告書に添付する

IV. 動植物検疫対象品目の輸入手続きについて

食肉加工品や乳製品など加工食品の一部は、農牧省(SAGARPA)の動植物検疫の対象となります。検疫対象品目を輸入する場合は、農牧省(SAGARPA)農業食品衛生無害品質庁(SENASICA)が発行する検疫証明書が必要です。検疫証明書を取得するためには、産品-原産国-経由国毎に定められた衛生条件を満たすことを裏付ける原産国や経由国発行の証明書等を提出するとともに、港や空港などの保税区域において現物検査を受ける必要があります。

2019年5月末時点で、検疫対象品目の日本からの輸入は限られていることから、食肉加工品や乳製品などの加工食品(飼料用のサプリメント等を除く)の分野で衛生条件が定められている品目はありません。動植物検疫の対象品目であっても衛生条件が定められていない品目を輸入するためには、まずSINASICAに対し、当該産品についての衛生条件の設定を申請する必要があります。

なお、どの食品が動植物検疫の対象となるかは、「輸出入に際して農牧省が農業食品衛生無害品質庁(SENASICA)を通じて規制する商品・製品の分類とコードを定める経済省・農牧省令」にHSコードと品名がリスト化されています。同省令は、経済省の国家貿易情報システム(SCINE)ワードファイル(1.82MB)で最新版をダウンロードできます。

V. 輸入通関に必要な書類

輸入通関の際、輸入者は以下の書類を税関に提出(実際はVUCEにデータを電子入力、あるいはPDF等の電子ファイル形式でアップロード)します。

  1. インボイス
  2. 船荷証券(B/L)もしくは航空貨物運送状(Air Waybill)
  3. パッキングリスト
  4. 輸入衛生事前許可の対象品目の場合、COFEPRISが発行する許可証
  5. 動植物検疫対象品目の場合、SENASICAが発行する検疫証明書
  6. 原産地証明書(経済連携協定や自由貿易協定等に基づく特恵関税等を活用する場合)

なお、輸入申告自体は登録通関士、あるいは通関に関する輸入者の法的代理人を通じて行う必要があります。また、輸入申告を行う前に租税公課を所定の口座に収める必要があります。

VI. 関税、その他諸税

  1. 日メキシコ経済連携協定(JMEPA)

    2005年4月に日メキシコ経済連携協定(JMEPA)が発効し、商品によっては特恵関税が適用されます。JMEPA税率を適用するためには、原産地規則および積送基準を満たす必要があります。また、日本の指定発給機関(日本商工会議所)が発給する特定原産地証明書が必要です。

  2. 付加価値税(IVA)

    大半の加工食品についてはIVAの税率は0%(無税)ですが、一部の加工食品(キャビア、スモークサーモン、ウナギの稚魚、牛乳以外のノンアルコール飲料など)については、輸入額、関税、税関手数料(DTA)の合計に付加価値税(IVA)16%が課税されます。

  3. 生産サービス特別税(IEPS)
    一部の加工食品については、IEPSが課税されるものもあります。従価税の場合の課税ベースは輸入額に関税、税関手数料を合計した金額です。
    ・エナジードリンク:25%
    ・果糖飲料:1リットル当たり1.17ペソ
    ・高カロリー食品(100グラム当たり275キロカロリー以上): 8%
  4. 税関手数料(DTA)

    原則として輸入申告額の0.8%に相当するDTAが課されます。

VII. 原発事故に伴う規制

2011年3月11日に発生した原子力発電所事故により、2012年までは日本産の食品や医療関連素材を輸入できる税関がアーチ型の放射線量測定器を備えたマンサニージョ港、ベラクルス港、メキシコシティー国際空港の3税関に限定されていましたが、2013年以降、同規制は撤廃されており、また、輸入に際して放射線関連の特別な証明書が要求されることもありません。

関係機関

保健省(Secretaría de Salud)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国税庁(SAT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済省(Secretaría de Economía)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
在日メキシコ大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2018年3月
最終更新:2019年5月

記事番号: J-180303

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