VAT支払いの要否:EUで役務(F/S調査)を依頼した場合

スロバキアに工場設立を検討しています。現地コンサルタントにフィージビリティスタディを依頼したところ、VAT(付加価値税)を課税して請求されました。支払う必要がありますか。あるいは、還付を受けられますか。

I.  VATパッケージ(VAT制度改正の総称)
EUでは、VATパッケージと呼ばれる制度改正が実施されたことに伴い、2010年1月1日以降、事業者間(B2B)で行われるサービス提供の課税地は、原則として「受益者が事業を営む場所」となりました(EU指令2006/112/EC 第44条、B2Bで行われるサービス提供の課税地の原則ルール)。ただし、この原則には、多くの例外規定があり、不動産に関連するサービスの提供もその一つです。不動産仲介業・不動産鑑定・建築設計監督等を含む不動産に関連するサービスの提供は、従前の規定どおり、「不動産の所在地」が課税地となります(EU指令2006/122/EC 第47条)。


II.  フィージビリティスタディ(Feasibility Study:F/S)のVAT課税の考え方
日本企業が海外に工場を設立等する場合、通常、事前にF/S を行います。調査内容は、設立予定地の土壌調査、鑑定士による土地の評価、現地での法務・税務の調査が一般的です。


ご質問のケースでは、F/Sに不動産に関連するサービスの提供として、VATが課されたものと推察します(上記I. 参照)。日本企業がEUのコンサルタントに不動産関連サービスの委託をした場合、不動産所在地であるEU加盟国(本ケースではスロバキア)が課税地となるため、請求書の記載どおりいったんVATを支払う必要があります。


なおF/Sのうち、現地での法務や税務の調査にかかわるサービスの課税地は、原則どおり「受益者が事業を営む場所」となります(本ケースの場合では日本が課税地となり、VATは課税されません)。F/Sの内容は多岐にわたります。例外規定の該否を確認してください。また、請求時は不要なVATが計上されていないかを確認することが重要です。


III.  VAT還付制度
国内VATは還付を受けられるケースもあります。
VAT還付制度は、日本が外国の事業者に対して日本の消費税の還付を認めることに対し、EU加盟国も日本の企業に対してVATの還付を認めるという互恵関係をベースとした制度です。詳細はジェトロ貿易・投資相談Q&A「 EUのVAT還付制度 」を参照ください。


ご質問のケースの場合
スロバキア、チェコなどEU加盟国、とくに旧社会主義国等は、日本との間に互恵関係がないとして日本企業にVATの還付を認めていません。

従って、本ケースではVATは還付されません。


関係法令
Eur-lex:
付加価値税の共通システムに関するEU理事会指令2006/112/EC


※本資料は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の委託を受けた税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PWC)が作成しましたが、ジェトロおよびPWCによる法的な見解・助言でないことを予めご了承願います。実際のビジネスに当たっては、本資料のみに依拠せず、別途専門家から助言を受けてください。


調査時点:2013/12

記事番号: P-100604

関連情報

ご質問・お問い合わせ

記載内容に関するお問い合わせ

貿易投資相談Q&Aの記載内容に関するお問い合わせは、オンラインまたはお電話でご相談を受け付けています。こちらのページをご覧ください。