VATを賦課しない請求書の条件として納税番号を求められた場合

EUに拠点を一切持たない弊社(日本企業)がドイツの見本市(メッセ)に直接出展しました。メッセ主催企業や広告代理店やブース施工業者から提供されるサービスに対する請求書について、付加価値税(VAT)を抜いてもらうよう依頼したところ、VATを賦課しない請求書を発行する条件として、弊社(日本本社)の納税番号の提出を要求されました。弊社としてはどのような書類を送ればよいのでしょうか?

VATを賦課しないで請求書を発行する条件は、原則として請求書の受取人が「ビジネスを行っている事業者」であることが前提となります。メッセ主催企業などが納税番号の提出を求めた背景は、ドイツの税務当局が後日の税務調査で、VAT賦課なしの請求書の受取人(サービスの受益者)が「事業者であることの証明」の提出を求めるケースがあり、それに備えるためです。ただし、同証明について、ドイツ付加価値税法では明確に規定しておらず、決められた様式もありません。


I. ドイツで開催される見本市への出展にかかわるVAT課税の考え方
ご質問の契約が見本市出展にかかわる各種サービスを含む総合的な契約である場合、通常、一連のサービスはBtoBビジネス(課税事業者間の取引)の場合に限り「受益者の居住地」が課税地となります。見本市出展サービスを受ける企業(受益者である日本企業)が、日本に所在して事業を営んでおり、EUに拠点を一切持っていなければ、課税地は「受益者の居住地:日本」となり、原則としてドイツのVATは課税されません。ただし、展示会の入場料についてはBtoBビジネスの場合でも「催し物の開催場所」が課税地となるため、ドイツのVATが賦課されます。


ドイツのメッセ主催企業などの側から見た場合、ドイツのVATを賦課しない請求書の発行は、請求書の受取人が「ビジネスを行っている事業者」であることが前提です。VATを賦課しない請求書を発行して数年後に税務調査が入り、請求書受取人(サービスの受益者:日本企業)が間違いなく「事業者であること」の証明を求められ、それを提示できなかった場合、請求書を発行した会社が19%のVATを追加納付しなくてはなりません。これは、ドイツのメッセ企業にとってリスクになります。以上の理由から、メッセ主催企業などは、後日の税務調査などに備えて、日本の企業に対し「事業者であることの証明」の提出を求めてきます。


II. 「事業者であることの証明」について
「事業者であることの証明」として、日本の企業が用意できる書類は、まず「登記簿謄本」(現在事項全部証明書あるいは現在事項一部証明書)が考えられますが、場合によっては、翻訳などにかなりの労力が必要になります。


そこで、より実務的な書類の例として、日本の会社の管轄税務署に証明してもらう日英併記の「居住者証明書」があげられます。


実際に日本企業は、ドイツで付加価値税登録をする場合や、ドイツの付加価値税の還付申請をする場合に、日英併記にした「居住者証明書(ドラフト)」を用意し、日本企業の管轄税務署に送付して証明を得た後、ドイツ税務当局に提出しています。


今回のケースでは、直接税務当局に提出しませんが、前述の日英併記した「居住者証明書」は、多くのドイツ企業で受け入れられると考えられます(以下に、「居住者証明書(ドラフト)」の一例を紹介します)。


繰り返しになりますが、ドイツの付加価値税法では「事業者であることの証明」について、証明方法あるいは様式に関して明確な規定はありませんので、ご留意ください。


なお、参考までに上述の「居住者証明書」の取得方法例を以下に記載します。
個別具体的な対応および手数料は各税務署で異なることがあるため、必ず事前に管轄の税務署に確認してください。

  1. 居住者証明書(ドラフト)を2部作成(※内1部は税務署保管用)
  2. 納税者番号(法源番号)欄には法人税の整理番号を記入
  3. 管轄税務署へ提出し証明を取得


1. 窓口へ直接持参
原則として即日発行はされず、受領まで1〜2週間かかります。 窓口で手交あるいは郵送による返送も可能です。
窓口での受領には、会社の代表者または代表者から委任を受けた代理人で、いずれも本人確認書類と、代理人の場合は代表者からの委任状を持参する必要があります。郵送での返送を希望する場合は、切手を貼った返信用封筒を持参し提出します。


2. 郵送で送付
「居住者証明書在中」と記載した封筒に、証明書2部と切手を貼った返信用封筒を同封し税務署宛に郵送します。提出書類に問題がなければ、1〜2週間ほどで官印押印後の書類が返送されます。ただし、書類に不備がある場合は受理されないため注意が必要です。


関係法令
欧州委員会:
2008年2月12日付EU理事会指令2008/8/ECを含む各種VAT関連指令

参考資料・情報

居住者証明書(一例)


※本資料は、日本貿易振興機構(ジェトロ)による法的な見解・助言でないことをあらかじめご了承願います。実際のビジネスに当たっては、本資料のみに依拠せず、別途専門家から助言を受けてください。


調査時点:2014/12

記事番号: P-100601

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