コーヒーの輸入手続き:日本

質問

コーヒーの輸入手続きについて教えてください。

回答

コーヒーの生豆は植物防疫法に基づき、植物検疫の対象となります。また、コーヒー豆の残留農薬基準に留意が必要です。

I. 関税分類番号(HSコード)

コーヒー(HS0901)
インスタントコーヒーやエッセンスなど(HS 2101)

II. 輸入時の規制

  1. 植物防疫法
    1. 輸入手続き
      コーヒー生豆など、加熱加工されていない乾燥させただけのものは植物検疫の対象となります。 輸入時にまず農林水産省植物防疫所に検査申請します。
      植物検疫を受けるにあたっては、輸出国政府機関が発行する検査証明書(Phytosanitary Certificate)が必要ですが、コーヒー生豆については検疫有害動植物が付着するおそれが少ないものと判断され令和2年8月5日から検査証明書の添付が免除されることとなりました(輸入検査は必要)。植物防疫所での検査の結果、病害虫等の付着が判明した場合は、消毒、駆除、廃棄等の措置が命じられます。
      なお、土が付いたものは輸入できません。
    2. 輸入植物検疫制度の改正

      近年、輸入植物の種類や輸出国が増加・多様化しています。
      より効率的な植物検疫措置のため、数度の植物防疫法施行規則改正ののち、平成28年5月に検疫有害植物リスト、植物検疫措置内容の見直しが施行されました。

      改正の概要についてはジェトロ貿易・投資相談Q&A「植物防疫法 」を参照ください。

  2. 食品衛生法
    1. 規制内容

      輸入時は、農産物の農薬残留基準(農薬の各食品中の残留量の限度)に留意します。
      これは食品衛生法に基づく厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準」で規定されています(残留農薬等に関するポジティブリスト制度)。
      なお、ポジティブリスト記載の農薬等のうち、ポジティブリストになく基準が設定されていないものに許容される一定量は0.01ppm以下です。
      個別の残留農薬等の基準値は公益財団法人日本食品化学研究振興財団のサイト「食品に残留する農薬、動物用医薬品及び飼料添加物の限度量一覧表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」から検索できます。

      また、食品添加物や使用基準が定められている物質の含有にも注意を要します。日本では使用が規制されている発色剤、着色料、保存料等の食品添加物が使用されている場合があります。
      特にインスタントコーヒーは「食品、添加物等の規格基準」における「粉末清涼飲料」に分類され、成分規格・製造・保存基準の定めがあり、容器包装などにも注意を要します。

    2. 基本的な手続き
      販売目的(頒布を目的とするサンプルも含む)で輸入する場合、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類(原材料、成分または製造工程等に関する説明書、衛生証明書(必要に応じて)、試験成績書(必要に応じて)を届け出る必要があります。
      審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものは検査が実施されます。審査・検査で同法上問題がなければ、税関への輸入申告時に通関書類とともに、検疫所から発行される「食品等輸入届出済証」を提出します。不適格と判断されたものは輸入できないため、輸入者は積戻し・廃棄等の措置を取ります。

III. 販売時の規制

  1. 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)
    国内販売時は、JAS法に基づく品質表示基準に従って一括表示を行う必要があります。輸入品には原産地(国)表示が義務付けられています。詳細は、文末の消費者庁ウェブサイト「品質表示基準一覧」を参照ください。
    なお、「有機」、「オーガニック」と表示するためには、有機JAS基準に基づく登録認定機関の検査を受け、認定を受ける必要があります。
  2. 食品表示法

    2013年6月28日に「食品表示法」が公布され2015年4月に施行されています。しかし、加工食品と添加物は5年間、生鮮食品は1年6カ月の間、以前の制度に基づく表示を認めるという猶予期間が設けられました(ただし、新たな機能性表示制度については、新しい制度であるため猶予期間はありません)。食品表示法の制定により、これまでの食品衛生法、JAS法、健康増進法に基づく表示に関する規定が一元化されました。規程の概要は下記のとおりです。

    1. 品質事項として、JAS法で定められていた、原材料名、内容量、原産国名等の食品の品質に関する表示
    2. 衛生事項として、食品衛生法で定められていた添加物、賞味期限、保存方法、アレルゲンや製造所等の健康の保護を図るための表示
    3. 保健事項として健康増進法で定められていた、栄養成分表示などの健康の増進を図るための表示
    4. JAS法と食品衛生法に定められていた遺伝子組み換えについての表示など

    「食品表示法」の詳細については文末の関係機関、消費者庁「早わかり食品表示ガイド:消費者庁」を参照ください。

  3. その他の国内関連法
    1. 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)/公正競争規約
      過大な景品付販売や消費者に誤認されるおそれのある誇大・虚偽表示等は禁止されています。また、全日本コーヒー公正取引協議会が定めた表示規約と全国コーヒー飲料公正取引協議会が定めた表示規約があります。
    2. 健康増進法

      栄養成分または熱量に関する表示を行う場合には「栄養表示基準」に従った表示が義務付けられています。また、特定保健用食品(オリゴ糖入りなど)として販売する場合には許認可手続きが必要です。

      ※経過措置期間(平成32年3月31日まで)においては、従前の健康増進法に定められていた栄養表示基準に基づく表示が認められています。

    3. 資源有効利用法/容器包装リサイクル法
      ガラス瓶、ペットボトル、紙製容器、プラスチック容器、スチール缶、アルミ缶等は分別回収促進のための材料識別表示が義務付けられており、特定事業者(輸入業者を含む)は容器廃棄物の再商品化が義務付けられています。

関係機関

厚生労働省:
食品衛生法に基づく輸入手続きについて外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品添加物外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
残留農薬外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 植物防疫所:
食品表示とJAS規格外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
有機食品の検査認証制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
消費者庁:
早わかり食品表示ガイド:消費者庁PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.9MB)

参考資料・情報

日本食品化学研究振興財団:
残留農薬等ポジティブリスト制度について(食品に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品の限度量)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
全日本コーヒー公正取引協議会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2017年1月
最終更新:2024年5月

記事番号: M-010605

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