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外資優遇制度の解説:タイ

タイで電子部品や自動車部品を製造する事業・法人の設立を計画しています。外資に対する奨励策と規制について教えてください。

タイでは外国人事業法などに基づき外国資本の参入が規制されている業種があります。

一方、投資奨励制度も整備されており、外国資本の参入が規制されている業種であっても、タイ投資委員会(BOI)の認可を受けることで、一部業種への100%外資による進出が可能となっています。特に高付加価値産業や、タイに有益とされる業種(ハイテクノロジー、環境保全型技術、農業、電機、インフラなど)、研究・開発機能の充実化などの投資に対して、法人税および輸入関税の免除、または税制以外についても各種の優遇措置が付与されます。

I. 業種規制および就業規制
タイでは、外国人事業法に基づき、外国資本の参入が禁止されている業種や、一定以上の外国資本の参加が認められていない業種があります。ただし、一部の業種(下記のカテゴリ2および3の業種)では、BOIの認可を受けることにより、外国人事業法の制限を超えた外国資本の参加が可能です。以下、概要を説明します。

1. 規制業種
タイでは外国人事業法に基づき、43業種に対し外国資本の参入を規制しており、外国資本は49%までしか投資できません。規制業種は大きく以下の3つのカテゴリーに分類されます。

カテゴリー1:タイの伝統産業、農業、報道・通信などの禁止業種(9業種)
カテゴリー2:タイの安全保障や伝統文化に関する分野(13業種)
カテゴリー3:サービス業、小規模小売・卸売業など、タイ国民が外国人と競争する準備が整っていない分野(21業種)

なお、外国資本が規制されているカテゴリー2および3であっても、BOIの認可を受けることで、最大100%までの外国資本の参加が可能です。ただしBOIが認可し、恩典を付与する業種であっても、他の法令により、外国資本の株式保有比率を規制する場合は、この限りではありません。

2. 外国人に対する就業規制
外国人職業規制法にて、会計・法律サービス、仲介・代理業(国際貿易業を除く)、設計士業務などの39職種に対し、外国人の就業を禁じています。 

II. タイ投資委員会(BOI)による奨励制度の概要
タイでは、タイの持続的な成長に寄与し、競争力を高めるための外国投資を奨励する目的で、奨励業種および奨励地域を定めています(投資委員会布告第2/2557号、2014年10月15日)。奨励業種ごとに定められている条件を満たし、BOIが認可した場合には、法人税の免除、機械・原材料の輸入税免除などの恩典を受けることができます。

1. 投資奨励対象業種
BOIの投資奨励恩典を申請できる業種は、以下の7つの区分の計107業種です(2015年3月現在)。

区分1:農業および農産品20業種
区分2:鉱山・セラミックス・基本金属16業種
区分3:軽工業11業種
区分4:金属製品・機械・運輸機器15業種
区分5:電子・電気機械8業種
区分6:化学・紙・プラスチック14業種
区分7:サービス・公共施設23業種

なお、詳細は、文末「参考資料・情報」の「BOI:投資奨励対象業種表」をご参照ください。

2. 投資奨励地域

  1. 比較的所得の低い20県:
    カーラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナーン、ブンカーン、ブリーラム、プレー、マハーサーラカーム、ムックダーハーン、メーホンソーン、ヤソートーン、ローイエット、シーサケート、サコンナコーン、サケーオ、スコータイ、スリン、ノーンブワラムプー、ウボンラーチャターニー、アムナートチャルーン
  2. 特別経済開発区
  3. 委員会により奨励または認可された科学技術区

III. BOIによる恩典措置
法人税の免除、機械・原材料の輸入税の免除などがあり、業種により受けられる恩典は異なります。また、研究開発など、国または産業の競争力向上のための投資を行った場合や、地域分散や産業地区開発を促進するための特定奨励地域および工業団地などに立地した場合は、メリットベースの恩典として法人税減免期間の延長などの優遇措置が追加されます。

ここで注意すべきことは、BOIの認可が「法人単位」ではなく、申請した「事業単位」で与えられることです。タイ現地法人の事業内容にBOIに申請していない事業が含まれていた場合、その事業で上げた利益に対して恩典は適用されません。従って、事業別に会計管理を行うことが要求されます。

1. 業種に基づく恩典措置
上述した107業種を重要度に応じてグループAとグループBに2分し、さらにグループAはA1~A4、グループBはB1~B2に細分し、恩典措置を定めています。各クループの恩典措置は以下のとおりです。詳細については、文末「参考資料・情報」の「ジェトロ:各種優遇措置」をご参照ください。

グループA : 法人税、機械、原材料に関する恩典および非税的恩典の対象
グループB : 機械、原材料に関する恩典および非税的恩典の対象

2. メリットベースの恩典措置
以下に記載のさらなる投資を呼び込むことが期待できる活動や事業など、国または産業に有益だと判断される場合には、メリットベースの追加恩典を申請できます。

  1. 競争力向上のための投資(研究開発、知的所有権の購入、高度の技術訓練など)
    法人税免除期間の延長
  2. 地方分散の促進のための投資(業種認可基準である農業、工業、サービス業の競争力開発を満たし、投資奨励地域に立地した場合)
    法人税免除期間の追加、免除期間終了後の5年間において法人税を50%減税、運送費・電気代・水道代の控除、通常の減価償却以外にインフラおよび建設投資費用の25%を控除
  3. 工業用地開発の促進のための投資(工業団地または奨励される工業地区に任意で立地する場合)
    法人税免除期間を1年間追加(ただし合計8年間まで)

なお、追加恩典の申請には、以下のとおり、グループごとに、申請可能な時期が定められていますので、ご注意ください。

グループA:奨励申請時または奨励後に追加恩典を申請することが可能。
グループB:上記のC項以外は当初の業種別の恩典申請と同時に申請。

3. 生産効率の改善のための恩典措置
業種別の恩典およびメリットベースの恩典以外にも、タイ国での生産効率および競争力向上のために、(1)研究開発、(2)公害防止、(3)電子製品および部品の製造業種の機械で既存の機械に代替する場合、奨励期間中において、機械の輸入関税の免除が受けられます。

IV. BOI以外による投資奨励策(タイ工業団地公団法)
2008年1月に施行された改正タイ工業団地公団法に基づき、タイ工業団地公社(IEAT)が実施運営する投資奨励制度があります。同法では、工業団地をGeneral Industrial ZoneとIEAT Free Zoneの2つのゾーンに分け、優遇策を定めています。それぞれの機能と恩典は以下のとおりです。

1. General Industrial Zone
General Industrial Zoneとは、各種製造業、サービス事業(輸送、倉庫、トレーニングセンター、クリニックなど)、その他の事業およびこれらの3つの事業に貢献する事業により使用されるゾーンです。土地の所有、外国人技術者および専門家の雇用、その配偶者・扶養家族の滞在、外貨送金の恩典が付与されます。

2. IEAT Free Zone
IEAT Free Zoneとは、各種製造業、サービス事業(輸送、倉庫、トレーニングセンター、クリニックなど)、その他の事業およびこれらの三つの事業に貢献する事業により使用されるゾーンです。事業の実施にあたり、IEATが定める経済的な効果、国家および国民の安全への寄与、環境への配慮への達成が求められるという制約がありますが、税制面その他で種々の恩典が付与されます。

具体的には、製品を輸出することに関して無条件の特権の付与、また製造・加工・サービス提供のための必要な機械、設備、機材、原料などについて制約なしにゾーンへの搬入が許可されます。税務面では、商品の生産に使用される機械、設備、原料などに課される輸入関税、付加価値税(VAT)、物品税について免税を含む税の恩典が付与されます。さらには、生産、もしくはサービスの提供のために必要な機械、設備、機材、原料などの他の法律が求める輸入許可、シール・ラベルの貼付、品質管理基準の制約が免除されます。また、General Industrial Zoneと同様に、土地の所有、外国の技術者および専門家の雇用、その配偶者・扶養家族の滞在、外貨送金の恩典が付与されます。

恩典措置の詳細については、文末「参考資料・情報」の「ジェトロ:各種優遇措置」をご参照ください。

関係機関
タイ投資委員会(BOI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ商務省事業開発局 (Department of Business Development, Ministry of Commerce)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ工業団地公団(IEAT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令
1999年外国人事業法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
投資委員会布告第2/2557号「投資奨励政策および基準」
改正タイ工業団地公団法(ジェトロ仮和訳)PDFファイル(172KB)

参考資料・情報
ジェトロ:
各種優遇措置
ビジネス関連法規
タイ投資委員会(BOI)関連法
タイ投資委員会(BOI):
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ASEAN-JAPAN CENTRE:
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調査時点:2015/07

記事番号: J-010442

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